2005年11月の記事


アッコちゃんの時代★
林真理子著/新潮社刊
林は、こんなものを書いてなにが面白いのだろうか。いかにも週刊新潮に連載されたというしかない小説。これも「小説」なんだろうか。なんだか一昔前の「黒い事件簿」あたりを読まされている感じがついてまわり胸焼けがしそうだった。それでも読み通したのは、怖いもの見たさ?つくづく下品な一冊ではあった。
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駆け足
今日は駆け足であれもこれも一気に片づけた。ほぼ4時間話しっぱなし。ハイになってきたので、そのままstudioに入って紅葉でも編集したいと思ったほど。顔を合わせて話すのが、しかしいちばんてっとりばやい。明日はまた六本木地下だ。
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歓迎。冬将軍
北日本、北海道大荒れ 低気圧が通過、冬型強まる [ 11月29日 18時24分 ] 共同通信

 低気圧が急速に発達しながら日本海を北東に進んだため、29日は北日本と北陸で大荒れの天気となった。
 低気圧は30日にかけ、北海道の西海上から宗谷海峡付近に進み、とどまる見込みで、北海道と北日本は30日日中にかけても荒れた天気が続くとして、気象庁は暴風や高波への警戒を呼び掛けた。
 北海道や青森、秋田、石川県などの一部では暴風警報が出され、北海道苫小牧市では午前9時40分に最大瞬間風速33・6メートル、秋田市でも午前11時7分に29・8メートルを記録した。
 30日日中にかけて予想される最大風速は、北日本と北陸の陸上で18−25メートル、海上で23−28メートル。波の高さは6−8メートルとなる恐れがある。
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一年ぶりに
知事に挨拶。恐縮するほかになかった。国立天文台の渡部潤一さんが一緒。いろいろやりましょうと二人で知事に。あいかわらずいい笑顔だったけど、すこし老いられたか。年明けの早い段階で、いくつか手土産を持って白河越えをしたい。何も映像だけが土産ではないのだと、しみじみ得心。整理するものを徹底して整理し、すべてを北へ。
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あっちも潮時。こっちも潮時。
やむをえずこんなメールを出した。
長い付き合いではあったが、ここも潮時かなとしみじみ。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
構成が変わるので以下の音楽チェックは不要です。
というより、音楽チェックは最初から要求していなかったはず。
だいたい、まだパート編集しかしていない。

30日までにというか29日中にもらいたいのは
何度も伝えてきたたように
「スタジオリビング」のロゴアニメシーンのサウンドエフェクトです。
カチンコとかムービーカメラの駆動音とかの
誰が聞いても「ああ映画の!」とわかる
「記号」としてのサウンド=ノイズ。
極端に言えば、それだけあればいい。

伝達係に問題があるのか
きちんと聞く態勢がとれずにいるのか
見当がつきませんが
台本段階であるていど想定できないようなら
もう仕事にはならないように思います。
つないだものを見ないとできないというなら
それもまたムリな話。
MAの朝までかかることが茶飯事なのだから
台本段階でできるだけあたりをつけるという
仕事のしかたをしてくれないと、ほんとうにお手上げになる。

台本は第1稿段階からwebでチェックできるようにしてあるので
もらっていない、見ていないというエクスキューズはナシにしませんか。
WebにアップしてMLでスタッフに伝えているのは、おれだよ。
制作部の夏苅じゃないんだよ。

もらっていないということは、
おれに届けろと言うことかな
広尾くんだりまで。
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これから虎ノ門へ
五回目となるが、まだ手ぶらのままである。去年再選されたときになんとか今年中にと思ったにもかかわらず着手できずに今日になった。いいわけは山ほどあるが、それにしても時間が経ち過ぎた。足が重い。
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iPod
のmovieversionを山岡君に自慢された。おどろいた。なんとも工芸品の極致のような出来で、ため息。映像も意外なほど鮮明。これはすけーえ。さっそくアップルに注文。六本木地下スタジオにて。
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顔射。
スタイリッシュにという要望なので今日は朝からスタイリッシュ編集モードである。んなわけねえか。淡々とブロックができ上がっていく。スタジオの乾燥がひどいせいか風邪気味。エビアンを買ってきてもらい顔にスプレーしながら奮闘中。
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聖家族のランチ★
林真理子著/角川文庫刊
林というのは、しかしあの顔、あの身体のままに下品で下衆な作家であるな。何を読んでも腹が立つ。これもまたエロ本以下の一冊だった。不細工な女はなにをやってもしみじみと不細工。
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ポンチ絵騒動
金曜のプレゼンは一時間半遅れで開始。終了が夜8時半。うまく進行したとはいえ、なんともめちゃくちゃな時間割ではある。ねぎしに寄って麦とろを食いながら雑談中に、古河の上映中の原版が行方不明となっていることが発覚。マザープリントの類いはゼロ、とも判明。管理をD2Tに委託しておくのは根本的にムリなのではないかとあらためて。聞かなかったことにしていつたん別れる。3時間後に、引っ越しの段ボールの中で見つかったとメール。良かったと安堵はしたものの、おさまらず。言うに事欠いて引っ越し荷物の中に原版放り込んでおいたその神経がわからない。プロデューサーにとっての原版は、制作会社にとっての原版は、生命の次の貴重品。だめな意味でのサラリーマン根性が薄くなった髪の毛の先端までしみ込んでしまっているのだろうが、なめた話である。上映中の古河でブルーレイディスクが破損したら、彼はどう対処するつもりだったのか。危機管理の初歩がまったくできていない日本一の広告プロダクションは、汐留の親会社の猿まねでビルの出入りチェックだけは物々しいが。ったくポンチ絵以下である。大鉈ふるうほかにねえだろうな。やっぱり。
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悪党たちは千里を走る★
貫井徳郎著/光文社刊
なんともぬるいクライムストーリー。行間が透けて見えるような紙芝居。貫井の「慟哭」を持ち上げた連中はどう読むのか。最後まで読んでしまったのが口惜しい。千里を走る「悪書」である。
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ぶじ通過。
11時のプレゼンはすんなり経過。外に出たら小春日和。腹が空いていたが眠かったので蒲田まで戻りひさしぶりに鳥久の油っこい弁当を買って朝刊を読みながら食べ、そのあと2時間熟睡。目覚ましから40分経過してベッドからはい出る。六本木の打合せまで2時間。明日プレゼンする台本は戻ってからにするつもり。荒篇は明日の昼にまとめる予定。
22日に撮影してもらった「冬」がなかなかよかったので、銀杏並木のローアングルを3カット五分弱にまとめる。Deep forestを仮あてしてみた。冬の風も追加。悪くない。

例の問題は穏やかな解決をみそうに聞いていたが、今日の様子を見ていると前途は多難。根底でどこかなめているように思う。あるいは根っからのバカか。この件に関しては先週、放棄したのでどうでもいいことではあるが。あわれ。いくつになろうと、自分のイメージなど壊す気になればいくらでも壊せばいい。どうせ細胞は数日で入れ替わってしまっているのだ。ありもしない、あったところで意味のない「アイデンティティ」などになぜ拘泥してしまうのだろう。いつか死ぬのだ。だれを恐れることがあるのか。おれには皆目わからない世界。

もろもろ小康。
つかのまの平安をここ数日、たのしめた。
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「悲しき恋歌」十話まで★★★★★
九段時代の友人からメールが届いた。M.S。ほとんど公開していないようなブログでも、こんなことがあるのだな。ちかいうちに会うことに。
月花房でひさしぶりに花を買う。パンドラのアリババも。silentnightを眺めながら、このカナダの町にいつか行ってみたいと思った。
甦っていく想いと、どうしようもなく醒めていく想いと二つあり。醒めるべくしてさめていく。そして甦るべくしてよみがえる。あのとき並べられた料理を前に爆発しそうになったおれを止めたものは涙だった。ワタシノタメニオコラナイデ。と切れ切れに吐かれた短いコトバと大粒の涙が、おれをとどめた。見失いかけていた。そういう想いが唐突にわいた。泣き疲れて眠り込んだその足をあたためながら窓の外の暗さを眺め揺られているうちに、4年間がフラッシュしていった。
「悲しき恋歌」を十話まで。傑作だ、と思う。映像のギミックに流されることなく、なんのてらいもとまどいも無しに、真っ直ぐにつくられている陳腐なラブストーリーを観ながら、ひどく感動していた。
それにしても、見切り時だとつくづく。あっちもこっちも、話を聞くたびに汚泥のようなものが繰り返し胸を満たす。憂さをはらそうにも捨て場がない。一期が夢なら、あんな時間はくそにすらならない。狂いようもない。電話で調子のいい弁明を聞きながら、ため息がとまらなかった。広告は女衒のなりわいである。いまさらだが。な。
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月に笑う。
プレゼン、ぶじ終了。古河らしくきれいな晩秋らしい夕焼けとなった。そして寒かった。芝の緑は黄となり、落ち葉があちこちに散っていた。映像に音と光がさらに加わり、D_NEXT!はいよいよ深まっていくこととなった。湯治部がこの一年余り総力を傾けた結果がカタチを結びつつある。その場所を“わが町”と呼んできたが、まちがいではなかったな、勝太郎で十二単と豚汁と五穀米を食いながらしみじみ実感。左にNaga、前にWata。二人とともにやわらかいトンカツを腹にいれながら、来し方をふり返り、感傷を愉しむ。♪いいじゃないの幸せならば…と胸の底でくちずさみ新香がわりとする。店を出たら高空に満月。十一月十六日十五夜。たしかに次の楔を打ち込んだ。Naga、Wataとしばし満月を眺め、帰路につく。冴え冴えとした月光のごとくきつい寒気に満ちた東北道を東京へ。ま、満願成就と言っておく。夜更けて、急速度で上昇していった激情が、的を射たのだ。あとはのんびりと航海をたのしめばいい。
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♪いいじゃないの幸せならば
挨拶篇、音を加える。転ばぬ方がいいのだが、転んでもただで起きないとも言うじゃねえか。やるだけやっておけば、どこかでいつか突破口も開くだろう。いや、開くと、いいな。バーチャルではあるが、今後、どういう方向に向かうか、そういうニュアンスを出せたとは、思う。DVDに焼いたものを33inchHDブラウン管で眺めながら、いま得心した。いいでき、じゃないの。たのしいじゃないの。この先の可能性を予感させるじゃないの。明日もまた遊びたくなるじゃないの。いいじゃいの幸せならば。ね。


http://homepage.mac.com/torum_3/love/iMovieTheater655.html
あのとき あなたとくちづけをして
あのとき あの子と別れた私
つめたい女だと 人は云うけれど
いいじゃないの 幸せならば

あの晩 あの子の顔も忘れて
あの晩 あなたに抱かれた私
わるい女だと 人は云うけれど
いいじゃないの 今が良けりゃ

あの朝 あなたは煙草をくわえ
あの朝 ひとりで夢みた私
浮気な女だと 人は云うけれど
いいじゃないの 楽しければ

あしたは あなたに心を残し
あしたは あなたと別れる私
つめたい女だと 人は云うけれど
いいじゃないの 幸せならば
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バタフライ・エフェクト★★★
DVD プレミアム・エディション
公開版と別エンディングのディレクターズカット版を観る。どっちとも言えず。確かに「切ないハッピーエンド」ではあるが、全体に漂うチープ感は、たぶんキャスティングのせいか。
この一週間で「記憶」にまつわる作品を3タイトル観た。
エターナルサンシャインが圧倒。
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緋牡丹博徒第3巻「花札勝負」★★★★★
木枯らし一号が吹くと、さすがに冬の色が濃くなりますね。
買っておいて観られなかった映画を見終わったところ。
加藤泰の徹底したローアングル全開の緋牡丹博徒第3巻「花札勝負」。
日本映画が様式美の極地にたどり着こうとしていた頃の作品。
その後、失墜しちゃうんだけど、あだ花のような凄みがあつたころの映画です。
初見は、たしか歌舞伎町の東映だったかな。あるいは丸の内東映か。
映画館でタバコが吸えた頃のことだけど。
感想はwebのレビューとまったく同じなので引用します。

「日本人の持つ日本人性とでもいったらいいのか。 人情の機微、情念、心に持つ湿
気。それらを独特の視線で映像にする加藤泰監督のこぼれ出るようなみずみずしさや、
やるせなさがあまりに美しい。

魅力ある登場人物達の侠気と節度、怒りと忍耐。ワンパターン化して美しき自滅(?)の
道を歩んだ東映任侠劇の、その最も美しいエネルギーのほとばしりが観るものの胸を
締めつけはなさない。 まだ幼ささえ残る藤純子が、女神のような母性と女聖を感じ
させ犯しがたい官能性をみせる。私は劇場ではコマ飛び・キズの雨ふり等、ついに上
質なプリントで観る事ができなかったが、このDVDでようやく鮮やかなお竜さんに接す
ることができた。

加藤泰演出の優しさ・つつましさは煮えたぎるほど過激だ 」


その頃の藤純子に福島泰樹はこんな啖呵を捧げている。

      わがひとに、もしくは藤純子に…

  唇を噛みて降り来る雨の中たれか一人の志なりしかど

  蒼ざめて散りゆくものは花ならず乳首よおれが愛でし君はも

  散りゆくは花なりしかど口惜しみの二人三脚、貴様を選ぶ

              福島泰樹歌集「晩秋挽歌」より
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ヘンリーの悪行リスト★★★★★
ジョン・スコット・シェパード著/新潮文庫刊
意外な面白さ。映画のシナリオを書いていたらしいが、この物語もまたきわめて映画向き。ラストのどんでんは、しかし悪趣味ではないか。ハリウッド向けとは言えるだろうが。そこまでの主人公カップルのエネルギーの源が、こんな崩壊のさせかたでいいのかな、と。ハッピーエンド、とはいうものの。
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暗礁★★★★
黒川博行著/幻冬舎刊
「疫病神」「国境」の続編。ま、読みであり。しかし「国境」のときの熱はない。続き物の難しいところ。黒川は、ここどまりなのだろうな。
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木枯らし一号と幸福の王子。
要するにおれは幸福の王子ではない。あたりまえか。むしろドン・キホーテである。そりゃそうだ、か。マンションの入り口前に落ち葉がたまっていた。いきなり冬。部屋にいても窓辺はけっこう冷える。12日。東京に木枯らし一号が吹いたとニュースで。街のあちこちに散っていた落ち葉は、木枯らしゆえ。11日の氷雨。12日の木枯らし一号。決まり過ぎているところがおかしい。D2T事件は、迷宮入りというわけにいかなそうだ。落ち着くように落着して行くだろう。これもまた自然。
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11月11日。10年10ヶ月にピリオッド。
これでよかったのか間違っていたのか。94年の暮れ、にはじめて顔を合わせたのは小石川のオフィスだった。SがまだプロデューサーでPMとして来たと記憶している。年明けの95年1月の阪神淡路大震災以後、ちょうど10年と10ヶ月。10ヶ月と10日で産まれるのが人。ならば10年と10ヶ月は何を産むのか。あるいは殺すというのか。SHのD2Tプロダクツが幕を閉じることが決まった11月11日の夜、東京は氷雨となった。10/10、11/11と、ゴロだけは並んだが。はじめはSが、終わりはKがとどめを刺した。Sの失態を救う役割としてのK投入だったはずが、自ら首を絞め、墓穴を掘っては救いようがない。サジを投げる以外に道はなかった。話し合いは穏やかですこしだけ悔恨が顔を出したが、それも笑顔に消されていった。窓の外は新宿southの夜景。氷雨前のもやにおおわれ、どこか夢の世界のようにも見えていた。スタートの頃は新宿southは、ただの南口で、甲州街道の排気ガスに汚れた何もないうす汚れた光景だけだった。10年は、南口を新宿southに激変させたが、変われずに消えていく人もいる…それだけのことにすぎない。ピリオッドである。いくらかの感傷を残しながら、読点を打つ。
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降参。しかし夜は寒いな。一時間もぶらついていると泣きたくなってくる。指先がかじかんでマッチ売りの少女のごとくである。どうでもいいがマッチ売りの少女は、しかし悲惨な話だ。こんなものを考えついたヤツの顔が見たい。一喜一憂というより一喜七憂のような気もするが、それもいいじゃねえか。ゴミ袋を野良猫が必死な形相で破ってなかみを引きずり出していた。たいしたもんだなと感心してたら、ふがぁーっと吠えられた。ネコは吠えた、でよかったか?ま、ネコも必死。ワシもまた必死である。冬はせつなくていい。
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無垢。
どうすればいいのか。焦熱感が消えない。一枚一枚めくっていけば見えるのは震えてうずくまる無垢。なにが無垢かと、いなしながら、フラッシュするコマから目を離せない。貧。にもかかわらず、なぜ気高くあれるのか。それがわからない。靴。服。それらのすべて。まいったよ。
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スカイライン
広尾でスタジオ工事につきあっている武田と会い、立ち話で打合せ。ももちで録った小学校のノイズも使えそうだ。薄暮の高速を移動。空の青みが残り、白い白い半月が冴え冴えと。思わず泣きたくなるようなスカイラインだった。

不足していたボールペンなどを大量に入手。スタンバイ。フラッシュゼロ。しらけ感だけが淡く残っている。これは、まあ残尿感のようなものだろう。せつなさが一気に消失すると、凡庸な時間だけが残る。い、た、し、か、た、な、し。

このあと、ラフプランをまとめる予定。しかし腹がへったな。
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酔夢、覚醒。
まどろみながら見た夢はいずれも貧しく情けなくなるようなイメージの連続だった。ため息つきながら目を閉じ、浅い眠りのなかでまた同じようなイメージを浮かべていることに気づく。その繰り返しで目覚めた。あのイメージをさめた頭で反すうしたが、夢でゆがめられていたわけではないことを確かめただけ。ではなぜ、なのか。どうしてリアルになれなかったのか。

あれはなんのトライアルだったのか。と山岡にもらった3杯目のハワイコナを飲みながら、仕事を放り出して考えた。思いあたるコトバは「閉塞感」。これに尽きる。とりかかっていた案件が、いずれも抜け道のない行き止まりのようなものばかりだったところに、ひとすじ光明がさした。その光明に意味を重ね強固なものにしたかった。あがきは、そこに起因するのではないか。だからすべての異和に目をつぶった。つぶったままに突き進んでみた。進められれば何かが開かれると夢想した。そしていつか夢想そのものが暴走していった。これは我がなつかしの一点突破全面展開時代そのものではないのか。もっともあれは全面展開はならずに、「全面破産」と揶揄され潰えたのだが。

突破は、つねに幻想である。突き破ろうとする「想い」だけに意味がある。その「想い」はカタチを結べばマンガに陥ることは、おれの若い記憶と、社会的事実が証明ずみ。だから、こうなった。こうなることがあらかじめ見えていたにもかかわらず、突破しようと試みた。あがき狂いは、なおらねえもんだな。ま、おもしろい。やみくもに、ロゴスを越えてこそ熱狂ではあるが。覚めかけるときの自己嫌悪が、ちよっとやっかい。それもかわいいとも言えなくもないけど…

造型がひとつひとつばらばらにしか見えなくなってわずか数日。あらためて見てみれば、そのどれもが陳腐で平凡。あきれるほどのつまらなさに、笑いが出た。公園の木立の下で、うずくまって風をよけるホームレスの傍らで、声を出して笑った。100日余。酔狂に溺れられるのだ、と確かめられたことは、収穫。ま、いいじゃねえか。

これから広尾へ。
遅れついでだ。このあいだあきらめた音の整理をしたくなったので武田と会うことに。前から考えていた「町の気配」に挑戦してみたいと考えている。サウンドスケープ序章として…
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馬謖は誤植。
泣いて馬謖を斬る、のは孔明が馬謖をかっていたからだ。おれのはただの優柔不断。たんなる別れ下手にすぎない。物心つく前に一度。酸いも甘いも飲み込んだはずの時に一度。ひとりは母。ひとりは兄と慕った男。この二つの別れが、きっとトラウマなのだ。自覚ナシのつもりだったが、認めないわけにもいかず。今日、斬ったのは馬謖ではない。ただ長い時間袖すり合わせたというだけの男ふたり。正確には斬ったわけではない。手から放した。どう解決されることになるのか思案の外に置くことにしたのだ。Kの誘いを受けたときが、結論だった。ゆだねる。預けてしまう。自らを遠ざけてしまえば、もう迷うこともない。返事を書いてから数時間で、遠い他人事のような気分にさせられている。せめて、馬謖ほどの存在であってくれたなら。それだけが心残りとなった。ああ。加藤賢明に逢いてえなあ。

さて。別れついでだ。もうひとつもすましておきたい。こちらはあるいは馬謖。カタチにあらわすわけにはいかないが、今夜をもって別れを告げたい。まだいくらかの行き来はあろうが、それは余韻。1300余の酔狂への餞である。ならしてみれば300余。最も多いときが317と222。ならせば約18
。その次が192と127。ならして約11。その前は124と73。約7。はじめは64と40。約5。そして旬日に満たず111と53。約18。ほとんど狂気のようでありながら、狂気を全うできずに過ぎた。それがすべて。ただ、茶番ではなかった。危うい綱を渡っていたのだとは思う。どこかで、これでいいと感じながら、そうじゃねえんだと打ち消す気分もまた強かった。せめぎあいながら折り合いがつけられず、破棄をたどる。そんなところだ。何かが決定的に不足していた。それがみつけられないうちに、踏み外した。そんなところか。窓に青柳。さらばと書いておくしかないだろう。
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shirake
まぢかで見ながらあらためてなにが良かったのか、わからなくなっていた。もういいじゃねえか、という気分がだいぶまえから間欠泉のように吹き上がっていた。そのことがどんなカタチで反映されることになるのか、それだけが不明だった。揺れはあったのだと思う。いつか確かめてみるために残しておくかどうか迷っている。メディアのひとつは捨てた。あとひとつをいつどうするか。それを迷いつつ、今夜は決めきれず。未練ではなく、不透明感に対するとまどい。今夜では後朝の余韻として、明日で遮断か。たぶんそれが最良の方法だろうな。造型の細部を見ながらため息が出た。いちど明言したが、それもあんまりだなと思い、撤回。しながらも時間の経つのがもどかしく、目の前のすべてをひっくり返したくなっていた。
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1289。約11。これでカウント停止。
502+787
1289
10.7
つまり11。
これがすべてだ。
以上でも以下でもない。
ありのままの事実。
ここで、打ち止め。
行き止まりとする。
堂々巡りに、おれはくたびれた。疲れたよ。もう。とっておきのレッドカード、ここで切ることにする。退場。である。
ゲームオーバーではなく、見切り。消耗戦からの総撤退。さらばばらばらである。
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寒夜。
夕方までから一変して冬のような寒さになった。タバコを買い公園で吸っていたら底冷えがした。昼の東京は24℃。明日の朝は13℃だとか。このまま冬に向かうことになるのか。何かあったら道があるなら何よりではないか。肉親あるいはそのほかに。じやぁ、それでいいじゃねえか。おれの杞憂だ。想いのままにあればいい。8.5℃。無縁なり。線を画した、その線がうとましい。投げ捨てる。後朝はすでに過ぎている。ことばもまた過ぎているのだ。これ以上、何があるというのか。残るは泥沼だけである。居住まいを正すのはうなずけるが、土壇場での選択はおれの流儀にあわず。溺れようにも水がない。干からびた沼であがいたところで、洒落にもならない。フェイドアウトかカットアウトか。どちらにしたって大差なし。ことばに詰まるばかりではある。おもえばjust120。またいだとはいえ、四季ひとつ分が過ぎただけさ。
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博多ロケアップ
3時前にアップ。予定どおり。4時に福岡空港に着き、4時半のANAに乗れた。羽田、6時を少しまわったころに。最終便だと11時過ぎだから、助かった。おだやかな夏の終わりのような一日で、撮影はどうということなかったが、のんびりできた。ゆうべ、テムジンに寄った後、宇野さんが連れていってくれたマジックバーは、目の前30cmで展開しただけに、ただひたすら楽しめた。宇野さんの予言どおり、一夜明けた今日のロケの間にも話題になっていた。相馬さんの腕時計は、それにしてもいつどの瞬間にはずされたのか。福岡、ほどのよいいい街だった。
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一枚の
毛布になれたらと痛切に思う。あるいはよくなじんだタオルケットでもいい。安堵と安眠だけを保証する布地であれたらと願う。すべてに対して。おれはいま、試されているのではないのか。あれが無垢で。その無垢が問うている。おまえき何をしてきたのだ、と。

かわいそうな小さなツバメにはどんどん寒くなってきました。 でも、ツバメは王子の元を離れようとはしませんでした。 心から王子のことを愛していたからです。 パン屋が見ていないとき、 ツバメはパン屋のドアの外でパン屑を拾い集め、 翼をぱたぱたさせて自分を暖めようとしました。

でも、とうとう自分は死ぬのだとわかりました。 ツバメには、王子の肩までもう一度飛びあがるだけの力しか残っていませんでした。 「さようなら、愛する王子様」ツバメはささやくように言いました。 「あなたの手にキスをしてもいいですか」

「あなたがとうとうエジプトに行くのは、私もうれしいよ、小さなツバメさん」 と王子は言いました。 「あなたはここに長居しすぎた。 でも、キスはくちびるにしておくれ。 私もあなたを愛しているんだ」

「私はエジプトに行くのではありません」とツバメは言いました。 「死の家に行くんです。 『死』というのは『眠り』の兄弟、ですよね」

そしてツバメは幸福の王子のくちびるにキスをして、 死んで彼の足元に落ちていきました。

その瞬間、像の中で何かが砕けたような奇妙な音がしました。 それは、鉛の心臓がちょうど二つに割れた音なのでした。 ひどく寒い日でしたから。
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おまえはなにをしてきたのだ…
ひさしぷりに中也の詩がフラッシュ。雨。気をつけてはいたが、最後の数分、びしょ濡れになった。戻って風呂に入り、風邪薬も飲んだが、たぶん手遅れだろう。それでもいいじゃねえか。いい歳してとは思わずとも、ガキのように右も左も見えてなかった。屑のような時間の過ごし方をしていたのだ。やくざならこの指二本は詰めるところだ。詰めたところで返る時間はないのだが。戻せる想いもないのだが。雨から雨。閉じなければと必死で思う。ここで閉じねば無間地獄だ。そうわかっていながらなす術もない。ぼうぜんと立ち尽くす以外に道が見あたらない。二時間、涙が止まらず。熱が出てこのまま寝込んでしまいたい。記憶のどこかを拭い去れるような高熱を発したい。のたうちまわってすべてを記憶の外に投げ出してしまえたら。百万本のバラには続編があってしかるべきだと考えた日があった。真夏の盛りのことだった。それが落とし穴。墓穴だったのかもしれない。
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エターナルサンシャイン★★★★★
DVD
チャーリー・カウフマンの脚本がパーフェクト。
こういうシナリオにアカデミー脚本賞を与えるところが
アメリカの底の深さなのだろうか。
ブッシュが大統領をしている同じ国とはとても信じられず。
愛とアイデンティティの映画。
この深さと濃さは日本では望んでも得られない。
メイキングに入っていた未公開シーンはいずれも不可欠なもので
M.ゴンドリーが、これらのシーンカットをはねのけていれば、
作品・監督賞もありえたのではないか。
脱帽ものの傑作だった。
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天気は悪いが、気分は小春日。
5時から3時まで十時間。ひさしぶりによく眠った。ゆうべの編集では睡眠不足のためか、まったくのらず泥沼状態に陥ったけど、眠り足りれば話は別だ。これからもうひとひねりするつもり。

気がつけば、一週間、頭を洗っていない。まず髪を洗い、斎戒沐浴。それからなべをつかまえて素材をもらう。なべもきっとダウンしているだろうから。4カ月フル稼働。そのまえの数カ月もほぼフル稼働だった。そのことが何の成果にもつながっていないことがちよっと虚しい気もするが、遊びだと考えれば、それもまた。

ゆうべ宝島のアンケートをぎりぎりで送った。間にあわないかなと焦ったけど、手を付ける気分になれず放置。挨拶篇のつなぎを横目にあわててまとめ、送信。深夜に受け取ったという返事があったのでひとあんしん。これを送るとなんだか歳末が気になるようになった。街の灯も急にクリスマスカラーを強めている。

天気は悪いが、気分は小春日。
こんな日がたまにあるといい。
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●2005年ベスト6[海外篇]
1「アムニジアスコープ」スティーブ・エリクソン 集英社
2「売り込み」ダグラス・ケネディ 新潮文庫
3「獣たちの庭園」ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋
4「ある日系人の肖像」ニーナ・ルヴォワル 扶桑社
5「回想のビュイック8」スティーヴン・キング 新潮社
6「孤独な鳥がうたうとき」トマス・R・クック 文芸春秋
 
D・ケネディを知らずにいたけど、これではまった。
既刊を集めてまとめ読みし、さらに深間に。
知らなかったことは口惜しいが、
まとめて読めるのはやっぱり嬉しい。
S・エリクソンもまた初読だった。
なぜこんなにコクのある作家を知らなかったのか、
ここでも無知の歓びを堪能。
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●2005年ベスト6[国内篇]
1「桃」姫野カオルコ 角川書店
2「しゃぼん玉」乃南アサ 朝日新聞社
3「半島を出でよ」村上龍 幻冬社  
4「シリウスの道」藤原伊織 文芸春秋
5「モーダルな事象」奥泉 光 文芸春秋
6「ナラタージュ」島本理生 角川書店

桃は、やはり「ツ、イ、ラ、ク」と対でこそなのではないか。
にしても姫野の急加速ぶりには脱帽するしかない。
奇蹟のようなスゴミあり。島本の「ナラタージュ」もまた、
震えるような読後感。しなやかさよりもむしろ
剛直さと無垢さが際立つこの強さはどこから来るのか。
「しゃぼん玉」が描き出す乃南のユートピアと合わせ、
国内は女性が圧倒。ま、そういうもんだろうな。
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南島に。
放ったらかしておいた病院に。予約システムが変更になっていて不明瞭だったので窓口でひともめ。マニュアル対応の弊害如実。病院も工場もまってく同じ効率追求というのは情けないというより、なんだか国を挙げて小学生のようになっているようでおかしい。これでどうして「お笑い北朝鮮」などと揶揄してられるのか。とはいえ小春日和。眠い目こすりつつコーヒーで頭を起こし出かけたが、ぼかぼかと小春日和そのもののひざしで和まされた。ひさしぶりにいった病院はリニューアルされていて古いながらもすみずみに太陽が入るように工夫されていて、なかなかだった。帰りに駅ビルで崎陽軒のシューマイ弁当。なぜか診察の帰りにはこの崎陽軒が恋しくなる。

熊本の天候がいまいちなのでロケ出発は順延。ただ、週末も雨予報のため、隙間をついてのロケとなる。これはま、空しだい。

診察を待つ間、中庭に面した休憩所でベンチに座りひなたぼっこ。起きたばかりなのに眠たくなるような時間が過ぎた。日を浴びていると、あれもこれもが溶け出していくような気がした。沖縄にでも行ってこようかとふと思った。奄美に行って興さんと飲んでもいいし、西表島に行ってロビンソンとバラス島に遊んでもいい。どこか強い日ざしと濃い緑と涼しい風のある場所で、うっとうしい気分をさましたい。できればひと月くらいは身を隠したい。身をさらさなければやがて記憶になっていく。記憶はいつか薄まるはずだから。

ようするに無縁だったのだ。かき立ててはみたものの、かき立てきれずに隙間だけが広がっていく。砂かむような繰り返しにやがて飽きる。努力でどうなるものでもない。かくあるべし、からこれだけ遠いところで生きて来てしまった以上、なにをいまさら、だ。日ざしを浴び、目を閉じてゆらめく秋の日を追いながら、影をかたちに結ぼうとしたが、叶わず。眠っている間に見た泣き顔が、なぜ泣いていたのかも思い出せなかった。いや、そのときは忘れていた。不安に駆られ、目を覚まし、起き上がって確かめようとしながら、また横になった。横になって目を閉じながら、眠ってしまおうとしている自分をいぶかった。三日前なら飛び起きていた、そうひとりごちながら眠り込んだらしい。目覚めたときには記憶ゼロ。病院から戻ってこのメモを書きはじめて思い出した。そんなものなのだ。

4200mのマウナケア山頂は猛吹雪で零下。低酸素でちょっと動いただけで頭がクラクラしても、一時間クルマを飛ばして降り立ったビーチは汗ばむ常夏。禁じていたタバコもうまい。そういうものなのだ。まいりはしないが、拍子抜け。秋の空、である。
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すべて戯れ言。
急上昇&急降下。めんどくさくなってきた。交点が見当たらないのだ。もう放り出そうかと思うと、矢玉あり。で、あえばいたしかたなきのくりかえし。店じまい。卵か鶏か。境が見えず。坂の途中で消えてしまおうと思いながら時間が過ぎ、ガキのようにじゃれて終わる。その時間が惜しくなっていることに気づいた。たあいない往還などもまた。このうとましさはおもえばはじめから見えて隠れてあったのだ。であったとしたところで咎める意味もスジもない。無縁といえば無縁。すれ違っているのではなく永遠に平行。1200余のピースで手構成された絵空事。所詮は、じゃねえのか。あれもこれもそれも、3点とはよく言ったものだ。戯言。もういいかい?もういいよぉ。気になってチェックしたら1290。あやうく歳月を風化させるところだった。1290/50と1200/4。ま、内容の密度はともかくとして、これはやはりナンセンス。男として情けない。狂気の沙汰というよりは、ただの水増し。数には何の意味もないのだ。撃つか撃たれるか。そこにしか価値はない。仙花紙じゃあるめえし。
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超伝導リニア?
唐突に浮かんだのは、なんだこれ?という気分。100余を数えて1。このままならたぶん一年で三たび。そう数えて笑いが出た。それいじょう考えるほど頭が働いてもいなかったので風呂に入って寒さを溶かしているうちに忘れ、眠り込んだ。爆睡するつもりが七時間で目が覚めた。風呂に湯を張りながら冷蔵庫のお茶を飲んでいるうちに思い出した。なんだか超伝導リニアみたいだ。強烈に引きつける力と反発力がディレイしていくから浮上し疾走しつづける、あの二年近く原理からはじまって実験線に100回くらい乗って3DHD駆使して撮り続けた超伝導リニア。レールのくびきから解き放たれたから第三革命と書いたのだ。ま、途中降板させられはしたが。このところ、もしかしたら超伝導リニアもどきになっていたのかもしれない。疾走するが交わらず。接せず。約10cmの距離を保ちながら流線型ボディと地上とは磁力を出している限り永遠に交わらない。ヒートアップしたまま浮上し超スピードでひきつけ反発しながら運動し続けていく。多数の乗客が乗っていればいいが、未来的流線型ボディだけなら無意味なイカロス。なにしろ飛べるのは所詮地上10cm。むなしいといえばむなしいじゃねえか。
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やっと終わった。
ミックスダウン午後11時アップ。20分30秒。文句なしの一本になった。今夜は爆睡したい。広尾地下スタジオにて。乾杯。
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