緋牡丹博徒第3巻「花札勝負」★★★★★
木枯らし一号が吹くと、さすがに冬の色が濃くなりますね。
買っておいて観られなかった映画を見終わったところ。
加藤泰の徹底したローアングル全開の緋牡丹博徒第3巻「花札勝負」。
日本映画が様式美の極地にたどり着こうとしていた頃の作品。
その後、失墜しちゃうんだけど、あだ花のような凄みがあつたころの映画です。
初見は、たしか歌舞伎町の東映だったかな。あるいは丸の内東映か。
映画館でタバコが吸えた頃のことだけど。
感想はwebのレビューとまったく同じなので引用します。

「日本人の持つ日本人性とでもいったらいいのか。 人情の機微、情念、心に持つ湿
気。それらを独特の視線で映像にする加藤泰監督のこぼれ出るようなみずみずしさや、
やるせなさがあまりに美しい。

魅力ある登場人物達の侠気と節度、怒りと忍耐。ワンパターン化して美しき自滅(?)の
道を歩んだ東映任侠劇の、その最も美しいエネルギーのほとばしりが観るものの胸を
締めつけはなさない。 まだ幼ささえ残る藤純子が、女神のような母性と女聖を感じ
させ犯しがたい官能性をみせる。私は劇場ではコマ飛び・キズの雨ふり等、ついに上
質なプリントで観る事ができなかったが、このDVDでようやく鮮やかなお竜さんに接す
ることができた。

加藤泰演出の優しさ・つつましさは煮えたぎるほど過激だ 」


その頃の藤純子に福島泰樹はこんな啖呵を捧げている。

      わがひとに、もしくは藤純子に…

  唇を噛みて降り来る雨の中たれか一人の志なりしかど

  蒼ざめて散りゆくものは花ならず乳首よおれが愛でし君はも

  散りゆくは花なりしかど口惜しみの二人三脚、貴様を選ぶ

              福島泰樹歌集「晩秋挽歌」より