2012年05月の記事


司馬遼太郎著『関ヶ原』(上)
 今週から読み始めている。豊臣家、家臣団が分裂してゆく過程。三成のもとには、懐刀の左近が選ばれ、布陣はととのう。

 秀吉が没し、秀頼が京都から伏見に移る。移転のくわだては三成主導ですすむ。

 家康と奉行間の溝。その奉行間にも三成と朝鮮渡海の清正、小早川らに溝が深まっていく。

 三成の打つ手に家康はそれを逆手にとった対抗策。三成はあろうこと、家康陣営に身を寄せる。さて。
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シリア 鹿児島
 日曜日、昼下がりのTV番組。シリア出身の青年に、海外青年協力隊かでボランティア活動家を務めたと方が出演した。

 シリアからの青年は現在、鹿児島市内のデスカウントストアーで働いているらしいが、母国のダマスカス大学を卒業、子供のころから日本文化に関心をもっていたと言う。

 歩行姿勢(一直線に歩く日本人、腕をフリ振り体をゆすり歩く姿で他のアジア人と識別)で、日本人女性に近づき、「日本語を教えてください」。

 その女性、胡散臭かったが、「一度だけ」の約束で、「日本語のレッスン」。彼は開口一番、「あなたは自由民主党の支持者か、民主党の支持者か?」。

 彼女は(めんどうくさい)「みんなの党です」。次の矢で「渡辺党首の、どこが気にいっていますか?」。「本題にはいりましょうねーと、話題をそらした、が」。

 困っているのは、シリアの青年が和食好き。「砂糖や塩分は体に悪いので、使わせない」。司会者が、「それは摂りすぎの時です」と、合いの手を入れていたが。

 聞いていて、思いだした。18世紀、ロシアは日本に接触するため、漂流民の日本人を首府に案内、日本語の教師に仕立てた。

 日本語の学習にと大いに期待したが、大隅の国の漂流民は鹿児島なまり。やや時代がくだって下北の漂流民は南部ことば。顔は日本人ではあるが、言葉は大いに違った。

 出演のお嬢さん、鹿児島での生活は四半世紀。でも、シリアの国で標準的な日本語を教えたらしい。日本につれてこられた青年の日本語は、鹿児島弁でなかった。

 その青年。将来は、アラビア語の通訳、貿易の世界で生きたいと、言う。
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森健著「東京スカイツリー 3.11の奇跡」
 森健著「東京スカイツリー 3.11の奇跡」。世界最高634メートルをめざし建設した東京スカイツリーの開業も5月22日に予定されているのだそうである。

 すぐる3.11の大地震のとき、震源地は東北なれども首都圏も震度5が記録された。そのとき、現場では?。確かに存在した関心事ながら、そこに地震の揺れが到達していたことなど、「念頭になかった」ということが、本当かもしれない。事実、小生は本書を読むまで、思いいたらなかった。

 工程からいうと大地震は皮肉なことに、「最終段階にして最重要、最難関の工程に差し掛かっていた。(略)『あと少しだ』。(略)その時だった。『地震か』『来るぞ』」(328p)。

 最悪、もっとも避けたい、あってはならないタイミングで、1000年に一度の大地震に遭遇したと言うから、そういうことかと、感慨をもって考えざるをえない。

 技術の粋。計算しつくして施工した工事の途中で、想定した強度が実際に発生した揺れで「確認」できたということだから、これまたたいへん。こちらは未曽有の実験ということかも、知れない。

 最後の最後。塔の先端の中心を6センチ以内の誤差におさめたい修正作業の最終段階で、実際に生じていた誤差は2センチで、なんなく修正して作業を完了。

 その場面、偶然に昨夜のNHKTVで紹介されていた。技術者は安堵の表情で「三々七拍子」。
 開業を前にということもあろうが、相前後して、技術の蓄積の紹介を読み、そして眺めた。(『文藝春秋』 2012年6月号)。
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釧路港修築碑


 釧路港修築碑。釧路市内の米町公園に所在。釧路港東港区を一望できる位置にある。

 建てたのは近江出身の商店主たちで組織する太湖会。井伊直弼の50回忌にあたる年、釧路港修築予算が帝国議会を通過したのを喜び、本碑建立を企てたと、ある。

 「開国」を主唱した正当性をうたい、港が完成した時、船のマストが林立し、多くの貨物がゆきかってにぎわうと、書いている。

 もと、故郷をおもい琵琶湖に模した春採湖畔に建立された。が、のちに現位置に移転された。
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朝倉喬司著「野望の〝錬金術”百年の興亡」
朝倉喬司著「野望の〝錬金術”百年の興亡」。『錬金術』と聞いて、1960年代に読んだ中公新書の『錬金術―仙術と科学の間ー』を思い出し、たとえば「卑金属を金などの貴金属に変え、人間を不老不死にすることができるという」ということを連想した。
 人とは、不老長寿と錬金術には、なが<精魂と情熱>をかたむけ、犠牲もはらってきたものだ、と。

 本書は、そうした自然科学を題材にしたものかとおもいきや、実はまったく違った。 
 貨幣が価値の等価交換にくわえて、貨幣自体が「自然増殖」するという見解があろうかと思うが、その後者の権謀術数によって、利益を集積したある種、スキャンダルの軌跡と系譜が主題。

 「山城屋事件と山縣有朋」(14p)、「尾去沢銅山事件と井上馨」(18p)の明治期。戦後の「光クラブ」(22p)、経済高度成長期の「ネズミ講」(50p)、バブルに向かう時期の「豊田商事」(67p)、
 権力につらなる人の利権つくりであったり、「お金をめぐる虚構が現実を動かす」(67p)企画者とそれに≪信じて従う≫狂乱を見る思い。

 著者は「資本主義に必須の『膨張』から派生したものであることはいうまでもない」(7p)と立論の趣旨をとき、むすびで「とんだ『未来図』に惑わされる可能性に絶えず直面」(77p)と、≪歴史の教訓≫を説く、か。(『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 2009年2月ー3月』 日本放送出版協会 2009年)。
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油揚げ 栃尾
 NHKの朝TV番組。新潟県栃尾市の油揚げ。

 番組を通して見ていたわけではないから不明ながら、油揚げの名産地であるらしい。
 基本は大豆加工。それを地元で加工製造、地廻り消費で域内循環と言うことがキーワードと、見た。

 主婦が、おすすめの油揚げと、買い求めてくるのは「それぞれ違う」。
 それぞれ異なるが、どの油揚げが、どこの店の製品かは、すぐにわかる。料理の用途によって、それぞれ決まった豆腐屋で買うと言うから、見事。

 利用教育と言うか、消費拡大にもいくつかの秘策。
 ひとつは「あぶらあげこしひかりまつり」。新潟ならではのネーミング。
 二つ目はITを通じた、油揚げレシピの提示。60種はあるというレシピ。

 域内循環。住民の支持。専門店の技術。大型点で、白いだけの水の固形物を豆腐と言う商法には、明確に「ノー」。そこが、有意味。
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岩澤信夫談『生きものの豊かな田んぼ』
岩澤信夫談『生きものの豊かな田んぼ』.「不耕起栽培」と「冬期湛水」。「ふこうきさいばい」と「とうきたんすい」と読む。談話の主は千葉県成田市で稲作農家を営む家の長男ながら、家業は「両親と妻に任せ」て「果物や野菜の栽培法研究に没頭」と、プロフィール欄にある。

 不耕起栽培は田を耕さないで米をつくるということだし、冬期湛水は冬の間も田の水を張ったままにすることだと、説明されている(83p)。
 なぜ、不耕起栽培か。答えは「冷害対策と農家の作業の軽減が目的」(同)とする。冬期湛水は「自然の力だけで土の地力が高まり、雑草も生えにくく、農薬や肥料がなくても立派にコメができる」と説明する(同)。

 「機械化への苦悩」(116p)とする項目もある。農業。農協の示す方針にそって栽培して売れば国の補助金があり、機械化がすすめば機械メーカーに利益が集積、農業経営には借金がのこる。では、経営安定のために作ったものはまず自分で加工、独自の販路で附加価値を高めたいが、そうはいかない。

 国は展望のないものには補助をしないし、農協職員は責任をとりたくないだろうし、農家には販路も流通のノウハウもないとー、言う事か。
機械メーカーは余分な投資や新しい挑戦などより、既存のシステムで利益が確実に回収されると、言う事なし。
 話者が機械メーカーに叱咤する場面がある。「(農機具メーカーの)工場の跡にはペンペン草が生えるようになりますよ」(117p)。なぜなら「(農家は)借金が負担になって、ほとんどの農家はやめるか、破綻してしまう」(同)。

 「農協や肥料メーカーや農薬メーカーのほうで自分たちに都合のいい情報だけを選んで届けることになる」(142p)としたうえで、「(消費者には)今のうちにうまいコメの味を覚えさせて、農業にひきずりこむことはできないかとジジイは密かにたくらんでいるわけです(笑)」(150p)。
 生産者、提供者は消費者・利用者の「利用教育」が不可欠ということ、か。(『NHK 汁を楽しむ 人生の生き方 2008年8-9月』 日本放送出版協会 2008年)。
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しんちゃん 映画
5月4日。暫くぶりに映画で「しんちゃん」。

 座席指定の映画館。ゆうゆう座席を選ぶことができたが、30分もしないうちに入場券を手配するヒトの列。寸でのところで、幸い。

 予告編に、観覧上の注意。同伴の孫は、「まだかーい」。そういうの見せられるなら、見なくてもよいから、幾分、割り引いてほしい。

 映画がはじまり、兄のしんちゃんが「ひまわり(妹)なんて、いらない!!」。
 ほどなく宅急便屋がやってきて、名付け親の兄ちゃんに契約書。署名をしたので、さーたいへん。一家は宇宙へと連行されて。

 ひまわり姫の紹介シーンは、オバマ大統領の就任演説の場面とそっくり。
 シナリオの展開は、どこぞやの拉致事件に良く似た構図。

 兄ちゃんは反省。通園している幼稚園で、「クーリングオフ」の話を聞かされ、「8日前だから、解約可能では?」。

 いろいろあって、兄ちゃんの「ひまわりを、どこにもやらない」の決意とともに、妹をとりかえすことに、成功。

 どんな映画だった?。聞かれて、くだんの説明。
 聞いた人、申す。「北朝鮮の拉致にも、クーリングオフが適用されるとよいのに」。

 2時間の鑑賞。ヒザが固まりかけて、キツかったが。
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宮城谷昌光著『孟嘗君と戦国時代』
宮城谷昌光著『孟嘗君と戦国時代』。タイトルは『孟嘗君と戦国時代』ながら、内容的には『戦国時代と孟嘗君』というべきか。孟嘗君登場までの、導入が丁寧すぎるというのが、第一巻。

 理由はどうやら『史記』記載の年表が、どうも良い加減であったことに気がつき(7p)、その修正・補強をめざした点にはじまるのかも、知れない。

 他方で、複雑な春秋ー戦国時代を一望できるようにするには、『史記』による既成概念を再構成する必要を、痛感したのかもしれないのだが。

 でも、複雑すぎるの感。それだけに、孟嘗君の哲学と指揮から時代を読まれたほうが、すんなり読めたのかもしれない。(日本放送出版協会 『この人この世界』 2008年)。
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