朝倉喬司著「野望の〝錬金術”百年の興亡」
朝倉喬司著「野望の〝錬金術”百年の興亡」。『錬金術』と聞いて、1960年代に読んだ中公新書の『錬金術―仙術と科学の間ー』を思い出し、たとえば「卑金属を金などの貴金属に変え、人間を不老不死にすることができるという」ということを連想した。
 人とは、不老長寿と錬金術には、なが<精魂と情熱>をかたむけ、犠牲もはらってきたものだ、と。

 本書は、そうした自然科学を題材にしたものかとおもいきや、実はまったく違った。 
 貨幣が価値の等価交換にくわえて、貨幣自体が「自然増殖」するという見解があろうかと思うが、その後者の権謀術数によって、利益を集積したある種、スキャンダルの軌跡と系譜が主題。

 「山城屋事件と山縣有朋」(14p)、「尾去沢銅山事件と井上馨」(18p)の明治期。戦後の「光クラブ」(22p)、経済高度成長期の「ネズミ講」(50p)、バブルに向かう時期の「豊田商事」(67p)、
 権力につらなる人の利権つくりであったり、「お金をめぐる虚構が現実を動かす」(67p)企画者とそれに≪信じて従う≫狂乱を見る思い。

 著者は「資本主義に必須の『膨張』から派生したものであることはいうまでもない」(7p)と立論の趣旨をとき、むすびで「とんだ『未来図』に惑わされる可能性に絶えず直面」(77p)と、≪歴史の教訓≫を説く、か。(『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 2009年2月ー3月』 日本放送出版協会 2009年)。

編集 freehand2007 : 「知恵もまた錬金の材料かも~」。今回は「悪知恵」の方で、本ができたようです。
編集 ペン : 何も無いところから金を生み出すと言うアイディアは昔からありましたが今は情報を如何に作るかでお金が湧いてくる時代になりましたね。知恵もまた錬金の材料かも~