2012 05/08 05:14
Category : 書評
朝倉喬司著「野望の〝錬金術”百年の興亡」。『錬金術』と聞いて、1960年代に読んだ中公新書の『錬金術―仙術と科学の間ー』を思い出し、たとえば「卑金属を金などの貴金属に変え、人間を不老不死にすることができるという」ということを連想した。
人とは、不老長寿と錬金術には、なが<精魂と情熱>をかたむけ、犠牲もはらってきたものだ、と。
本書は、そうした自然科学を題材にしたものかとおもいきや、実はまったく違った。
貨幣が価値の等価交換にくわえて、貨幣自体が「自然増殖」するという見解があろうかと思うが、その後者の権謀術数によって、利益を集積したある種、スキャンダルの軌跡と系譜が主題。
「山城屋事件と山縣有朋」(14p)、「尾去沢銅山事件と井上馨」(18p)の明治期。戦後の「光クラブ」(22p)、経済高度成長期の「ネズミ講」(50p)、バブルに向かう時期の「豊田商事」(67p)、
権力につらなる人の利権つくりであったり、「お金をめぐる虚構が現実を動かす」(67p)企画者とそれに≪信じて従う≫狂乱を見る思い。
著者は「資本主義に必須の『膨張』から派生したものであることはいうまでもない」(7p)と立論の趣旨をとき、むすびで「とんだ『未来図』に惑わされる可能性に絶えず直面」(77p)と、≪歴史の教訓≫を説く、か。(『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 2009年2月ー3月』 日本放送出版協会 2009年)。
人とは、不老長寿と錬金術には、なが<精魂と情熱>をかたむけ、犠牲もはらってきたものだ、と。
本書は、そうした自然科学を題材にしたものかとおもいきや、実はまったく違った。
貨幣が価値の等価交換にくわえて、貨幣自体が「自然増殖」するという見解があろうかと思うが、その後者の権謀術数によって、利益を集積したある種、スキャンダルの軌跡と系譜が主題。
「山城屋事件と山縣有朋」(14p)、「尾去沢銅山事件と井上馨」(18p)の明治期。戦後の「光クラブ」(22p)、経済高度成長期の「ネズミ講」(50p)、バブルに向かう時期の「豊田商事」(67p)、
権力につらなる人の利権つくりであったり、「お金をめぐる虚構が現実を動かす」(67p)企画者とそれに≪信じて従う≫狂乱を見る思い。
著者は「資本主義に必須の『膨張』から派生したものであることはいうまでもない」(7p)と立論の趣旨をとき、むすびで「とんだ『未来図』に惑わされる可能性に絶えず直面」(77p)と、≪歴史の教訓≫を説く、か。(『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 2009年2月ー3月』 日本放送出版協会 2009年)。