むじな森の夜
水の惑星チームへのメーリングから
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はじめて夜景を空から眺めました。
ゴンドラと観覧車から。

ソーラーシステムを使った3000本の「森のしずく=ほたる」が
会場内のあちこちに点在するようすは圧巻です。
山に囲まれた会場内の各パピリオンのやわらかな明かりは
とてもやさしげです。山の暗部がそのやわらかさを引き立てています。
観覧車から見た光景はさらに不思議なものでした。
会場の外側には水田地帯のほとんど真っ暗な世界が
夜の海原のように広がっています。
そしてその夜の海の彼方に須賀川市の街明かりが見えます。
地平線に沿った街明かりは水田地帯の闇のおかげで
漁火のようにも見えます。
森の博覧会は、夜になると漁火が見える…
子供ではなく大人だけに開放する夜があってもいいのではないか、
むじな山のふところに浮かび上がった夜の未来博は、
そんなことを思わせてくれます。
来場してこの光景を目にされた人は、
いつまでも心のどこかにあたたかな気持ちを抱き続けていく、
そんな気にさせられます。

昔、何かで読んだのですが、ホテルの語源であるホスピタリティとは、
暗い山道を行く旅人が、遠くにぽつんと灯った人家の明かりに勇気づけられ、
一夜のやすらぎを求めて、その明かりを目指したことに端を発した、
と記憶しています。
今夜、ゴンドラと観覧車から眺めた夜の会場には、
そのホスピタリティの気配が色濃く満ちていたように思います。
ホスピタリティは同時にホスピタルの源でもありますから、
もてなすことと癒すこと回復すること、再生することというのは
本質的には同義語であるべきなわけです。
「森に沈む」という福島県の掲げた旗印は、
案外こういう光景に集約されるのではないか、
そんなふうにも感じました。

明かりは人をいささかロマンチックにさせるので、
やや大げさに受け止めたかもしれませんが、最初の感想です。
いずれにせよ、一見の、ひと体験の価値は大。
会場にいらっしゃるときは、できれば薄暮過ぎを狙ってみてください。

さて、我らが水の惑星 ジ・アース館ですが、
手前みそだけど、群を抜いています。
カタチ、イメージともに他を圧倒しています。
未来博のシンボルとしての役割を十二分に発揮しています。


      夜のむじな森だよりでした。