絹ごしの雨



ぽつぽつ静かに
絹ごしの雨が降る。
道端の雑草が青々と見ゆる。

少年が親に叱られ泣いて居た。
其の泣き声が散歩道迄聞こえる。

男の子は泣いては駄目!
泣き声は止まらない。

それでも泣きたいなら、じっと隠れて
雲から突き出た山頂で、

星を見上げてそっと泣きなさい。
少年は素直に真っ直ぐに育ってくれれば良い。

どんなに悲しい事が有っても、
明日を信じて生きようね。
叔母さんと一緒に御家に帰ろうね。

そういう私も泣きたい。
泣き友の面影が残っている。
呼び戻せるものなら呼んで来たい。

しかし命は何時かは消えるもの。
相応しい裸木と冬の空。
あゝ冬の裸木、

葉も一ひら二ひら残っているだけ。
枝は勢いづいているが、

私も新しい季節の誕生が寂しい。
しとしと静かに絹ごしの雨ふる宵。

編集 sakura1205 : freehand2007さん、そうですね。こちらこそ有難う御座います。
編集 freehand2007 : 「葉も一ひら二ひら残っているだけ。 枝は勢いづいているが」。そろそろ若葉の<冬芽>の育ちを楽しめるかも。お運びいただいていて、ありがとうございます。