うたかたの夢



明子が青木家に社宅を借り、初めてのお正月を迎えた。
休暇を利用し明子は同窓会で呑んで歌って燥いで
久しぶりに笑いが絶えなかった。

「私、一年に一回だけ和樹君に算数問題を教えたね。」
私は算数が苦手で何でも優勝な和樹君が
「何故、分かったか教えて!」納得する迄私に聞く。

机は何時も隣か近くに座って居る、素敵な友達と
毎日顔が見られ小中時代は楽しかったと思う。

彼は女生徒の憧れの人で誰にも好かれ、
彼が私を女優の〇〇に似ている!

其の言葉を聞いた気の強い女生徒に
苛めを受けた事を覚えている。

小学中学九年間、一緒に勉強や体操をした仲良し。
彼が肝臓癌で亡くなった年賀状をご家族から貰い、
ショックを受け暫く胸が痛んだ。

どんな事が有っても25年間、彼の夢を見続けた。
少女時代の思い出だけで同窓会以外に会う事はないのに、
何故、夢の中に出てくるのか分からない。

「和樹君は貴女の事を凄く心配していたよ。」
友達に聞いた時、それだけで充分だった。

年賀状に優しさがいっぱい溢れ、私の為の
彫刻を掘って頑張れるように応援してくれた。

彼は東京芸術大学に進む程、絵や彫刻は巧く、
私には作れない素晴らしい年賀状だった。

私は、相変わらず多忙な長時間の仕事に追われ、
瘦せ細り着る洋服を探すのにも中々無い。

仕事で疲れても彼が夢に出て、
夢のなかでも優しさに涙が零れる。

きっと何時か、私が天国へいったら
逢ってお話しましょう。

それまで待って居てね。
同窓会で着た素敵なドレスを着て
目いっぱいお洒落して行くわ。

あれって初恋だったと思ふ。
儚い初恋の思い出はポケットに隠して置くわ。。

やがて大家族の住む庭裏にある社宅から
会社勤務に追われ、仕事だけの生活が始まる。

東京の夜は寂しい。
午後九時迄の仕事、そして0時から眠る。

何故、私だけと思いながら此れも運かと思う。

編集 sakura1205 : 私の知っていることや経験が入っています。
編集 sakura1205 : まこちゃん、明子さんて随筆の中で書いている人の名前です。私の意見も少し入っています。
編集 まこちゃん : それとも9年間の同級生の話かな?
編集 まこちゃん : 明子さんって「さくらさん」のことでしょうか?それとも