藤倉徹夫著『えべつ百話 (下)』(2)
 藤倉徹夫著『えべつ百話 (下)』(2)。ここでは職人の紹介から、理髪師。

 冒頭に、客人の頭のハゲ具合からして、疾患が判明するという。それだけでなく、「気質だって分かりますよ」と書く。

 「電バリの出たてね、若いもんに電バリ使わして」「電バリより早いんだよ、ハンバリの方が綺麗なんだよ」。

 電気バリカンの出現を「驚くよりほかはなかった」「立派な、いいものができるんだなあ」と思いながらも、ハンドバリカンの技術確立の道を書く。

 電気バリカンが遅くても、ハンドバリカンの刃を研ぐ時間の加算や技術者に技術がなくても使いこなせる便利さが認められて、「理髪は誰にでもできる職種」になるのかも。

 利用者目線ではどうか。「綺麗に仕上がる」の自負は、だいじなことでは。そうでないと、利用者はいつも≪拙い水準≫に、馴らされることになるが。