磁石と大地震の関係。 ANS観測の原点、安政江戸大地震の磁石落下 !!
01/20 22:05 36.4N 141.2E 50k M4.1 茨城県沖 
 ・・・下記データの全て日本時間・・・
01/20 21:01:03 49.27N 155.52E 43.2 5.2M A 千島列島
01/20 17:43:06 10.42S 160.70E 33.0 7.2M A ソロモン


◆◆1月20日(月)夕方、空知支庁/上砂川町より観測◆◆
 
 本日20日、夕方の日没時に自宅付近上空で出現していた綱状雲を観測。震源方位ラインは、南西付近/方位角230度−北東付近/50度。道南熊石町を中心とする桧山支庁方面−紋別市〜オホーツク海方面で、震源はさほど遠くはなく、まずリンク画像の地域範囲内で納まるものと思う。発生規模は大きくなく、M3.5±0.5といったところ。発生は早い傾向で、48H以内の場合も多いが一応、一週間程度の様子を見たい。規模も小さく、無感レベルで終始する可能性が高い。尚、今回の測定精度はあまり自信はない。±10度程度の許容範囲はみたい。 
 
 本日は久しぶりに自身での地震雲報告ができた。規模は小さいが、明瞭な綱状タイプの地震雲の場合には記録を残し、更新情報にも上げるようにしている。この日は全空の雲に地震性の反応が見られ、多震源に指向する状況。規模は何れも深刻なものはなく、精々、あってもM4.5以内という印象。
 オセアニアのメラネシア方面、ソロモン海域ガダルカナル島付近でM7.2の大地震。津波の恐れはないとのTVテロップが流れた。人口そのものが少ないと思うが、震源は浅く島にも近いので被害はどうだろうか? 東海アマの岩瀬氏が19日午前の更新情報において、南方海域の異常伝播からM6〜7プラスの48h前兆として警告していたが、恐らくこの地震が該当しているかもしれない。
 千葉の地震雲学者/新日本地震雲研会長の鹿嶋氏からの情報によれば、名古屋からのレポートで18日夜、ラジオの音声が突然、聞こえなくなった。長野からは非常灯の電源が勝手に入った。また19日、東海地区との電話の音声が極めて不明瞭で、聞き取りにくい状況になった、などの報告が寄せられている。

●●ANS観測の原点、安政江戸大地震の磁石落下 !!●●
 石田氏が提唱されている磁石を用いた観測ネットワーク「ANS観測全国網」は、非常に興味深い新しい試みだ。
 磁石と地震についての古い記録は、安政2(1855)年10月2日の夜、江戸とその近郊を推定M6.9の直下型地震が襲った「安政江戸大地震」についてのルポルタージュ、『安政見聞誌』(安政末の1860年頃発刊)にある。この大地震では江戸だけで約1万人の死者が出ており、これは当時の江戸の人口100万人のほぼ1%に相当している。
 この安政見聞誌の中では、浅草の眼鏡屋が長さ三尺あまり(約1m)の天然磁石に釘などをつけて店の看板代わりにしていたところ、ある夜、磁石についていた釘が全部落ちていた。安政江戸地震はその約2時間後に発生。地震後には異常は全く見れなかったというのだ。
 こうして安政5年(1858)には、佐久間象山によって馬蹄形の磁石の下に鈴をぶら下げた鉄片を吸い付け、これが落下すれば音がなる仕掛けの「人造磁ケツ」なる地震予知機が製作された(安政見聞誌の中には、天然磁石を利用した地震計の図も載っている模様)。つまり、「ANS観測法」の原点はここにある。
 また気象学者の高木 聖は、磁極を反対にして張り付けた2つの棒磁石からなる無定位磁力計を考案している。これは地震の2〜3週間前に動くものとされ、1959年には国会でもこの装置を採用するかどうかが議論されたらしい。
 佐久間象山による磁石を用いた地震予知機が地震を予知したという話はないが、しかし、発想そのものは決して間違ってはいないものと私は思う。この天然磁石が大地震直前に磁力を失う性質は、震源から発した電荷による地震性磁界の影響を受け、磁石と磁着物間の磁力線が乱れた結果、落下する現象だろう。問題は大地震でのみ落下する程度を見つける磁着強度のその程度にある。
 私はその微妙な程度を上手く見つけることさえできれば、大地震にのみ反応を示す効果的な装置ができる可能性があるものと思う。この場合は佐久間象山のようにガッチリ鉄片をつけてしまうと当然、落下することがなく失敗するが、だからといって、あまり敏感に反応するようにしてしまうと、かえって他の電磁気観測の波形のように絶えずノイズの誤認と闘い、識別しなければならない羽目になる。蓄積されたデータはないようなので、今後、発生地震との関係の中でその程度が見つけられるようになるものと期待される。
 地震予知の目的は震災レベルの大地震にある。小さな地震に反応し過ぎることは、観測上の無駄が多く、逆に大地震の前兆の見分けの問題が出てきてしまう。これは地震雲観測においても然りで、震災レベルの大地震は、地平線から地平線に双方が達するほどの長大な規模の断層状雲や帯雲でなければ、まず深刻なものとは考え難い。小さ過ぎるレベルの地震雲などは、私は無視して測定もしない。
  
『地磁気の異常
b)安政見聞録の磁石から落ちたクギは磁気異常か静電気異常か?
 安政見聞録の「地震の前に磁石についていたクギが落ちた」という話は有名である。上に述べたように、地震前兆の地磁気の変動は小さいことが地球物理学者によって知られており、昔の弱い磁石に付いたクギがP波の振動で落ちた可能性も指摘されていた。しかし、震央付近には大きな電荷が現れるとすると、安政見聞録の「落ちたクギ」も電磁気異常として説明できる。電磁気現象説に基づく実験として、磁石とクギに静電気現象により電荷を持たせると、クギの間の反発力やクギと磁石との反発力で釣り合いが崩れてクギが落ちる。このように、この仮説に基づけば、実験で「落ちたクギ」の現象を再現できる(Naturwissenchaften 84 (1997) 539-541)。』
[第2章 宏観異常現象の分析と評価]