♪ 花のホールで踊っちゃいてもぉ
叫び出しそうになり、あわててpowerbookにイヤホンをつっこみiTunesに入れた宇崎竜童の夜霧のブルースを鼓膜の許容限界音で6回リピート。目の前に並んだモニターを目をつぶってシャットアウトし、5年近く前のむじなの森の夜道を必死で思い出す。6月から7月にかけて。真っ暗な山道に浮かんだ鎌のように鋭利な三日月。蛙の合唱。闇を裂くヘッドライト。星の瞬き。6回目で呼吸がラクになった。7回目はボリュームをまともにして聴くことができた。きのうはちあきなおみのダンチョネ節、今夜は夜霧のブルース。明日の夜は練鑑ブルースか網走番外地か唐獅子牡丹か緋牡丹博徒か。ここ二日。どういうわけかジャンキーのように夜中に仕事が終わりかけると錯乱。何かを壊したくてたまらなくなる。放っておくと自分を壊したくてたまらなくなる。自傷趣味の十代の少女のように自棄の時間がおそってくる。けだもののような気分になっている。


♪青い夜霧に灯影が紅い
 どうせおいらは独り者
 夢のすまろかおんきゅの街か
 あぁぁ 波の音にも血が騒ぐ
 かわいあの子が夜霧の中へ
 投げた涙のリラの花
 何も言わぬが笑ってみせる
 あぁぁ これが男と言うものさ

 花のホールで踊っちゃいても
 春を待たないエトランゼ
 男同士の相合い傘で
 あぁぁ 嵐呼ぶよな夜が更ける