東京淡雪
2時過ぎに雪に気づいた。
淡雪。初雪になるのか。
会津の豪雪とはうってかわって
儚い夢のように夜の底に白いものが降りていく。
車のヘッドライトに照らし出されるのは
まぎれもない雪だった。
気温2℃。
地面に着いた瞬間に溶けていく春の夢のような
東京の初雪を眺めながら
ああ、これで終止符を打てるのだ、と思った。
もう、充分だと、腑に落ちた。
熟睡すれば拭いきれるのか否か。
午前3時51分現在では、まだつかめず。
ただ、これ以上は行き止まりだ、ということだけが
せつせつとしみ込んでいく。

越えるべきものが、もう何もない。
ここまでだ、これ以上は行けぬと
淡雪が告げている。

ヘッドライトに照らし出された瞬間だけの輝き。
夜の底に着地すれば、溶けて消え去るだけ。
淡き、そして浅き夢。
儚い束の間の道行き。

ここでとどまる。
先には、もう行けない。
822+1239
2061の不毛。
7.8-1.9  約180 およそ12平均の混迷。

あがく以外に術は無かったのだ。
あれもこれも封印し
消去すべきものを消し去った。

もう、復旧する手段もない。
良かったのか否か、それもどうでもいい。
疲れ果てた。
痕跡を、のこしたくはない。

ただ、無かったことにしたいと、切望。
溶けて流れりゃ、みなおなじ。