しりたくはなし。しるほかはなし
氷雨。だな、とこの秋はじめて体感。傘の下でタバコを吸いながら終わらない電話に向かい、まずカラダが冷えていった。霧のように細い雨で、こんなものはどんなカメラでもまず撮れねえよな、などとまったく関係ないことを頭の中だけで呟きながら、手足、胴、顔、それから胸が冷えていった。冷えてしまうとそのまま秋が冬になってしまったようで震えがきた。大阪、東京、古河、朝から雨。夜が更けても降り止まず。

怒りには、しかし届かず。こんなもんだろうな、とまるで他人事になっている自分を遠くから眺めている感じあり。悲鳴を上げ、タスケテと言われているのに閉じた目も開かない。こんなふうに暮れていくのかと自問してみてもため息が出るばかりだ。なにをやっているのだおれは、と歯がみしつつも、ボタンひとつを押せずに夜が過ぎていく。

わが身ひとつ持て余していて、なにがサステナブルかよ。

ここには物語が見えない。

森田童子をエンドレスで聴く。
あの夏の終わりから秋が深まるまで
なぜ、こんな唄にこころ奪われてしまっていたのか。

わかっている答えを、知りたくもなし。