記憶と記録1《はじまりかた》
11日の未明に書いたシノプシス。
忘れてしまいそうなので一部をここに残しておく。
俺が投げ出したのではない、ことの証でもある。
ため息にも、もう飽きた。
このからみについてはこれ以上メモすることは、ない。

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1.[謎]音と気配だけで提示される《謎の生命体》


場内暗転。

頭上高くには鳥のさえずり。
観客席の後方からは小川のせせらぎ。
前方の左手からは小学校の校庭でサッカーに興じる子供たちの歓声。
前方の右手には、のんびりと自転車が通り過ぎて行く。
横手左右からはさわさわと空気を揺らすそよ風。
正面下には、草むらで遊ぶ犬の鳴声。
真っ暗な場内のあちこちに濃密な春の音が満ちている。

その春の音、一瞬カットアウト。
奇妙な静寂。

観客席の真後ろから《音》が迫ってくる。
春の気配とはまったく異なるが
ふしぎな期待感を感じさせる《音》が背中から
真っ暗な観客席に向かって突進してくる。

場内を圧するような空気感が塊となって
来館者の頭上を通過し、前方に飛び去って行く。

と、来館者の周囲に猛スピードの光の列が走る。
スクリーンの真ん中に小さな光の点が浮かび、
あっというまに近づいてくる。
その光がスクリーン全体にひろがった瞬間、再び暗転。


春の音、いっせいによみがえる。
スクリーンいっぱいに真っ白な雲が流れている。
雲の切れ目には、うららかな春の光景。
その平和でおだやかな春がすみの中を
真っ白な豆粒のようなリニアが走っている。

メインタイトル、浮かび上がる。