アリスはかなしい 記憶3
熱いは冷たい。右は左。好きは嫌い。上は下。明日は昨
日。うまいはまずい。悲しいは嬉しい。余るは足りない。
固いは柔らかい。良いは悪い。前は後ろ。重いは軽い。
バカは利口。汚いはきれい。セリブはプアー…
わたしが私たちであるためにもっとも大切なことは言う
までもなく理解したことを伝えあえること。コミュニケー
ションにほかならない。
もしある日、互いに疑うことのなかったすべてのことが、
まったく相反する不思議の国に迷いこんでしまったアリ
スのようになったら、あなたはそこでどんなあなたと出
会うことになるだろう。
どこかずっと遠くの宇宙、あるいは異なる時間が生きる
宇宙の中で、あなたとは正反対の理解のしかたを持つ宇
宙人がいてコンタクトがとれたとしたら…そこで発生す
るのはデス・コミュニケーションなのか、それともあな
たのどこかと共鳴し合ったあたらしいコミュニケーショ
ンが成立するのか。
これは、私たちが私たちでありつづけるために大いなる
ヒントなる不思議な知性体との接近遭遇体験物語。
あなたやわたしは
まだ私たちでありつづけられるのだろうか。