さようなら 記憶1
ある午後あなたが頬をなぜる風に小さな痛みを感じたと
したらそれはこの星の悲鳴。ある夕ぐれあなたがみなれ
た川の流れに波立つ想いを抱いたとしたらそれもこの星
の叫び。ある夜あなたがいつもの夢の時間を大地の揺れ
で覚まされたとしたらそれこそはこの星の怒り。
あなたの知っているところであなたが知らないどこかで、
この星はいくつもの黒いため息をつきながらいろいろな
ことをあきらめていた。もういいんだよ、と思いはじめ
ている。さようならを言いたがっている。
もしもまだ希望があるとするなら
それはあなたたち自身のなかにある。
一人ひとりの
かけがえのないあなたたちの
勇気と元気と力がひとつになれば
まだまにあうかもしれない。
パンドラの箱の底に
最後に残されているのは
希望という名の明日のはずだから。