《青い鳥》第八章「再会」まで
《青い鳥》の第五話-第八話までを観た。
初見のときも香織の身投げから6年を経ての第二部という構成に度肝を抜かれた記憶があったが、やはり斬新だった。
野沢の《恋人たち》の夫婦の解体のさせかたと、恋する人の遺体の指を切り取るという発想にも度肝を抜かれたが、このあたりの発想は日本のシナリオライターが100人束になってもぜったいに敵わない部分だと思う。
物語の起伏に対する悪魔のような冴えはどこからくるのか。あきれるばかりだ。
それにしても、北の岬で幕を閉じた物語の第二部を「南へ」とは、並の書き手なら間違いなく陳腐な展開が、野沢は第一部のラスト近くの短い平安の時間の中で春になったら南十字星の一部を見るために鹿児島の先に行こうと香織と詩織の母娘に向かって主人公に約束させることであざやかに切り抜ける。閉ざされていく何の希望もない冬越えを目前にした、いわば唯一の越冬の炭火として。
それにしてもカメラワークのすずやかな美しさはみごとの一語に尽きる。