ともすれば月澄む空にあくがるるこころの涯を知るよしもなし
午後八時。まだホテル。空に月。
渡辺は郵便局に速達書留を投函に。
迷ったが書いた。

書き始めてみればたまった思いだけがあふれ出る。指に任せてキーを叩き続け、誤字だけチェックし打ち出す。筆ペンで署名して封印。

どこかで花火が乾いた音をとどろかせている。七月晦日、夏も盛りである。
渡辺が戻ったらホテルを引き払い、東京に戻る。夜の月を追いながら走ってみたくなった。


福島騒動。ひとまず柝を打つ。