陽水の月の砂漠
トラブル続きの間、パワーブックのitunesに仕込んだ井上陽水の「UNITED COVER」に入っていた「月の砂漠」をボリューム最小にして繰り返し聴いている。

あらためて聴きこんでみて気づかされたが、この歌は道行きなのだ。

そろいの白い上着を着た王子と姫が、
金と銀の鞍を置いた駱駝に、命の水の入った瓶を積んで、
月の砂漠を並んで旅していく。
白い服を着た二人が、砂丘の彼方に消えていく。

これは美しく静かな死出の旅。そのものである。

ひどく胸にしみる歌である。陽水の粘着質な情感の盛り上げ方が、まことにはまっている。

むじなの森のジ・アース館の現場事務所は、
太陽が沈む方向に面してドアがある。
晴れた日はかなりおそくまで明るさが残る。今日のような夕焼けの日には、だからいつまでも暮れていく色彩を味わうことになる。

トラブルのいちばん大きな問題がほぼクリアできた夕暮れに、この月の砂漠はよくなじんでいる。