長嶋は詩人である。
昨夜から東京は5℃くらい下がった感じだ。
台風9号の影響らしいが、ほんらいの季節の流れからいえば
これがふつうだ。涼しいせいか小説ばかり読んで過ごしている。
昼夜完全に逆転して四日目。
たまった企画もそろそろ手を付けないとやばい。

そう思いながら日暮れになるとジャイアンツに心が向う。

12-11の派手な打ち合いで負けた夜、長嶋は「いや面白かった」と
答えていた。プロ野球でもサッカーでも、勝敗だけをテーマにする
スポーツの監督の中で「面白かったから良かった」という感想を
吐けるのはひとり長嶋だけだと思う。

長嶋はどんな戦況でも、最前線に陣取った観客の精神を持ち続けていられるのではないか。
状況の真っ只中でひとり局外者の視線を維持するというのは、
この世界ではすぐれた詩人だけに許された資質である。

長嶋は、詩人のまなざしでジャイアンツの監督を続けるという
前代未聞の偉業を果たしつつあるわけだ。

こんな日々に、その長嶋を観ずして
真夏の夜を仕事で過ごすなどという無粋なことを俺はできない。

だから、今夜もナイター終了まで企画書は手付かず。

しかたあるめい。