『無間地獄』新堂冬樹はキワモノ
『無間地獄』新堂冬樹/幻冬社刊
本の雑誌で茶木氏が「アウトロー小説の金字塔である!」とべた褒めだが、キワモノに過ぎない。
馳星周の新作と同じレベルのことだが、ヤクザや都市難民が出てくると小市民は途端に判断が狂ってしまうらしい。「情報」を知りたければドキュメントの方がベターであることは自明じゃないか。もっともらしい過去をつくってさえあればどんな破天荒なアウトローも共感の対象になるという安易さは、もうとっくに現実に追い越されてるよな。
天童荒太の「永遠の仔」がかろうじて読ませたのは、分水嶺越えて書くときの心意気があったからではないのか。
それがなければあんなものただの火曜サスペンスのシナリオどまりだよ。
アンダーグラウンド書くときには、徹底した取材と、その取材を維持する情熱の背景を自らに問うべきである。