天帝妖狐 04.02.16
 今日も特筆する出来事がなかったので、乙一作品の感想です(苦笑)。

 最初に収録されている「A MASKED BALL」は巻末の解説がとてもしっくりくる作品でした。犯人像がどうこうというよりも、他の匿名登場人物の配し方が絶妙です。これは誰だろう、と想像しながら読むのがおもしろかったです。
 そして、表題作の「天帝妖狐」は何やらとても切ない物語でした。人が人に寄り添えないというのは哀しいことだと思います。パッと想起されたのが夢枕獏先生の「キマイラ吼シリーズ」の初期の展開でした。エンタテインメント性を削ぎ落としていくと、こんな物語なのかもしれません。