JUNKO IWAO CONCERT Art Sphere Theatre 2001 01.04.22
 会場は天王洲アートスフィア、ちょっと上品な感じのするホールと劇場の中間にあるような規模の空間が今回の会場です。場所柄からかダフ屋の姿もなく、非常に落ち着いた気持ちで臨むことが出来ました。
 中もシックでオトナな雰囲気で、これはコンサートの内容にも期待が持てそうな予感がしました。

 開演、幕が上がるとスリットから銀地の覗く黒のロングドレスに身を包んだ潤子さんが登場しました。胸元には金鎖のネックレスが光っています。会場の雰囲気と相まって、とてもキレイでした。
 1曲目は「スカーレット」。静かなイントロと歌い始めから徐々に声量が上がり、張りのある潤子さんの歌声が響き渡ります。もうこれだけでも来た甲斐があります。本当にコンサート向きの良い楽曲です。拍手がひとしきり鳴り止むと2曲目は「CANARY」。3曲目は「紅い花の伝説」です。どちらも女性の悲恋を歌ったバラード調の静かな歌です。観客も皆静かに聞き入っていました。
 ここで初めてMCが入りました。今回のコンサートは潤子さん自身が「バラードを中心に大人の雰囲気でおしゃれをして」やりたいという希望を叶えたものだということでした。ノリのよい曲ももちろん好きなのですが、こういう落ち着いた雰囲気で静かに楽しめるコンサートをずっと期待していたので、私としても願ったり叶ったりというところでした。
 続いて「しあわせの向こう側」「ディープ・パープル」と静かな曲と静かながらも激しさを秘めた2曲が続きました。特に「しあわせの向こう側」は私は生で聴くのは初めてだったのですが、すごく切なくて胸に迫るいい曲でした。
 そしてこのあとでスペシャルゲストとしてギタリストの渡辺幹男さんが登場しました。潤子さんは、幹男さんを前にすると妙に緊張するらしく、しどろもどろになりながら、幹男さんのすばらしさを賢明に説明してくれました。
 幹男さんを迎えてクラッシックギターの調べに乗せて「太陽のくに」を静かに、力強く歌い上げました。つづけて「泣かないWeekend」のボサノバヴァージョン、「虹の見える丘」とこれまでのコンサートであればみんな立ち上がって手拍子と共に盛りあがる曲をしっとりと歌い上げます。本当に静かな空間に楽器の音と、潤子さんの歌声だけが響いていました。
 そしてその幹男さんが作曲した「白い花の咲く河」を歌い、幹男さんの出番は終わりかと思ったのですが、そうはなりませんでした。
 潤子さんは最近、特に日本語の美しさを意識するようになって、それで自分が聞かされてきた好きな曲、「童謡」を歌っていこうと決めたそうです。最近、童謡を歌っていく人が少なくなったということもあって、バンドのメンバーと「消え行く童謡を守る会」を発足させたそうです。ですので、童謡は今回のコンサートが初お披露目となりました。選曲されたのは「早春賦」「赤蜻蛉」「朧月夜」「蘇州夜曲」の4曲です。最後の曲は正確には童謡ではありませんが、とても美しい曲に思えました。アルバム「18番街の奇跡」を聞いたときにも思ったのですが、こういったありふれた楽曲も潤子さんの歌として聞く、とても素敵な曲に聞こえるのです。あの曇りを感じさせない澄んだ歌声が活かされるのは案外こういう楽曲なのかもしれません。
 この後、やはり幹男さんが作曲した「グルクン〜赤い魚の燦華〜」を幹男さんと江口さんのツインギターで切々と熱唱して、ゲストコーナーは終了しました。
 「那由多の夢」「鳥籠姫」と2曲、やはり切ない歌が続きます。それがこんなにも心地良く聞こえるのですからなんとも不思議です。
 そしていよいよ最後の曲となった「野生の太陽」は昨年の日比谷の野音ではオ−プニングを飾った曲でしたが、今回はそのゆったりとした曲調が最後の曲にはふさわしいと感じました。
 当然のように大きな拍手と共に渇望されたアンコールは「Fly over to you …夜空をかけて」そしてフィナーレは「翼になれ」でした。昨日の公演では「翼になれ」で涙をこぼしていた潤子さんですが、今日はところどころ感極まってしまいそうにも見えましたが、涙をこぼすことはありませんでした。
 これで終わり…、と会場中がスタンディングオベーションで惜しみない拍手をおくります。ところがカーテンが下りません。客電も上がりません。そうです、ダブルアンコールがあったんです。
 まず、ギターの江口さんの誕生日を会場の全員でお祝いすると、「あと2曲!」と言って、「hurt」が始まりました。これまでとは一転してノリに乗って盛りあがります。続いて「Rising」と会場のボルテージが上がっていきます。
 この2曲が終わったところで、再び渡辺幹男さんがステージに現れました。手には岩男潤子コンサートの最終日ではお馴染みの例のファイルを持っています。ココでついに今後の活動についての告知がされました。
 まず、8月12日(日)、赤坂Actシアターでのライブが決定しました。今度は盛りあがれる「夏の」ライブということで、それに先駆けて、8月1日にはサンバの曲調の新曲マキシシングルが発売、その1週間くらい前からMUSICPODでの配信も始まるそうです。そして、いささか気が早いとは思いますが、来年の5月にまたアートスフィアでのコンサートが決定しているそうです。どちらかにはいや、どちらにも参加したいですね。
 めでたいお知らせに会場全体のテンションが上がりきったところで潤子さんが「もう1曲歌いたい!!」と言ってくれたので、幹男さんを交えて再び「虹の見える丘」を今度はアップテンポなアレンジ(これがオリジナル?)で激しく盛り上がりました。
 昨日のしっとりとした雰囲気での終演も心地よかったのですが、今夜のように身体も心も暖まって帰路につけるコンサートもやはりよいものだと思いました。


JUNKO IWAO CONCERT Art Sphere Theatre 2001

日時:2001年4月22日(日) 開場 16:30 開演 17:30
会場:天王洲アイル・アートスフィア

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