2003年01月の記事


「泣いてもいい?」
ほんの少しだけ
あの子のけなげさと
無力な自分に
涙をみせていい?

ばからしくなるぐらい
笑ってから
笑って 笑って
それから
ほんの少し
泣いていい?
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「みぞれ」
しゃきしゃきと降る
しゃきしゃきと踏む
中途半端な景色
しゃきしゃきと動く
しゃきしゃきと答える
リズミカルなあなた
ただ空は
しゃきしゃきと降らす
雨でもなく雪でもなく
しゃきしゃきと音を立てて
我が身をカキ氷のように
削り落として行く
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「詩集」
めくるページごとの
時めき
頬の赤らみを意識しつつ
あなたの言葉を追う
あの日
あの時
あの一瞬の虚空の奈落
言葉にならない感傷
また 出会えたんだね
あなたの言葉に
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「身分不相応」
豚も煽てりゃ
木に登る
降り方知らずに
転落死

笑う奴らも
笑い死ぬ


(かなりマイナー志向な都々逸ときたもんだなこりゃ(笑
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「嗅覚ヴィジョン」
花の芳しき香りの代わりに

硝煙の臭いと
腐敗臭と
埃臭さと

モニターの向こう側から
漂ってきたら
あなたはすぐにオフラインに
なるだろう

リアルとはそういうものだ
同じ器に入れた美醜なのだ
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「川面」
波打つ岸辺に
映える影
差す指先に冷たさは
春の遠さを知らしめる
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「城壁」
空白の時は
あなたの周りに
壁を築いた

あなたが望んだ訳ではないのは
わかっているけれど
わたしにその壁を
壊す力はないのだ

あなたのことを
忘れていた訳ではないのだが
忘れられたと思い込んでいた
あなたの時間が
ただならぬ外壁を
構築してしまったらしい

お願いだ
壁を壊せるのは
あなたしかいないのだ

わたしには
あなたが必要なのだと
コトバにしなくては
想いは届かない
あなたに届くまで
泣き叫んでいようか
この城壁の向こうの
あなたに届くまで
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「時計」
朝 降りた霜の中に
凍りついたコトバが
落ちている

日の出とともに
溶け出すコトバたち

光 輝き 昇華する
コトバたちによって生み出された
時計は
永遠の時刻を進むのだな
たとえ
わたしが事切れようとも


コトバたちは再び凍る

歯車の音は
闇の隙間から聞こえる
一度 溶け出したコトバは
二度と 時間の奥に
閉じ込められないのだ

コトバで作られた時計は
誰彼の記憶の中に
滑り込んでいくよ
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「救助」
誰かの声が聞こえる
救いを差し伸べる手は
何処にあるのだろう

寒さに凍えているのだろうか
餓えているのだろうか
孤独に悲しんでいるのだろうか

何れでもなく
我が身の立つ地が
崩れ落ちて行く恐怖に
慄いているのだと

自らの過ちに
恐怖しているのだと
気も狂わんばかりに
地位を失う事を
怖れているのだと

さあ、そこから離れなさい
そうすれば、救われる
そうすれば
誰かの手が届く場所に
あなたは行く事ができる

ただ泣いていてはだめ
ただ怒鳴っていてはだめ
「恐怖」と言う名の怪物を
倒すのはあなた自身
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「大根」
白き柔肌に
しっとりと
煮含まれる昆布だしと
湯気の向こうの微笑が
きゅっと素通る熱燗に
ほどよい色気を
重ねます

外は吹雪か木枯らしか
寒さを忘れる大根に
思うは故郷か
恋しき人か
冬の一夜は暮れて行く


(自分で書いてていうのもなんだが、これって
演歌の世界だよねえ(笑)
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「智恵子のように」
狂気の狭間に落ちてしまえば
思い悩む事もなく
悲しくなる事もなく
貴方を追いかけることもなく
我が身を哀しむ事だけで
総てを終えてしまえるでしょう
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「白景色」
失われたものを
再び取り返すのではなく
更なる時間を
その上に構築する
積もった雪は
昨日の雪が
再び降ってきたわけじゃない

あなたと再びやり直すことは
できないことかもしれない
でも いつか
再び出会うこともあるでしょう

塗り替えられた景色が
また塗り替えられるように
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「宴」
笑ってみようか
全てを忘れて

乱れてみようか
浮世忘れて
足は地にない

あなたの言葉も
夢ごこち
嘘も笑って許せるかも

酔い覚めまえに
キスしてちょうだい
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「幸福」
お金で得られるものならば
死に物狂いで稼ぎましょう

得られたものが「幸せ」ならば
死に物狂いで守りましょう

自分が何をしているのか
わからなくなるまで
働き続けても
誰も評価せず、見向きもせず
それでも「幸せ」なのは
ただの自己満足だと笑われても
あこにある「満足感」が
自分にしか味わえない「幸福感」

なにもせずに
落ちてくる「幸せ」を待つよりは
手に入りやすいのさ
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「娼婦」
旅人の止まり木を
自ら差し出し
愛を与える 女神だと
誰が否定できるだろうか

自分を安売りする
そのへんの小娘と
一緒くたにするなと
彼女は言う

誰にも真似のできないプライドを
負け惜しみだと
世間は言うが
彼女に跪く男たちは
彼女を守り通すだろう
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