景気回復。。。
 などという文字が今日の新聞の社説欄に。「自画自賛」では誤る恐れというタイトルが。。。

 「改革なくして成長なし」という言葉がこれまで何度、小泉首相の口から発せられたことだろう。今回の参院選でも、開口一番のせりふはこれだった。

 過去三年間、小泉政権が取り組んできた構造改革が功を奏したからこそ、日本経済は立ち直りを見せたのだ。私の実績だ。首相はそう胸を張ってみせたいのだろう。

 だが、こんな一方的な主張に素直に耳を傾ける人がどれだけいるだろうか。

 景気が回復過程には言っていることは、国内総生産(GDP)をはじめ、いろんな指標から間違いない。しかし、その一番大きな要因が輸出にあり、中でも米国や中国のおう盛な需要がけん引力になっていることは周知の事実である。

 その上に、経済界の人たちがもうひとつ理由を付け加えるなら、企業自身のリストラや、デジタル家電に見られる新製品開発努力を挙げるに違いない。これらは民間の自助努力である。

 そんな因果関係を無視して、小泉首相に「構造改革の成果」とやられては、経済界の首脳たちも、あえて異を唱えるようなことはしないが、しらけている。

 景気回復に小泉改革の貢献が全くないとは言わない。だが、構造改革は二、三年の短期で効果が表れるものではない。景気に対しては当初、むしろマイナスになることが多い。有名な米レーガン大統領や英サッチャー首相の改革も存在中は苦労ばかりで、成果を享受したのは後の政権である。

 小泉首相が改革を引っ下げて登場し、それなりに道をつけたことは、評価してよいだろう。だが、改革はいずれも、まだ道半ばであり、先べんをつけた道路公団改革も中途から腰砕けに終った。

 そのような現在進行中の改革が、景気回復に即効薬的役割を果たすとは思えない。状況を有利に生かす与党の選挙戦略としたら、野党は反論しなければならない。

 しかし、小泉首相の「自画自賛」に真っ向から挑む論戦は、残念ながらまだ見られない。年金やイラク問題などに精力が取られているためだろうか。

 景気回復に対する、ある意味で誤った認識は、ミスリードにつながりかねない。改革加速という大義名分の下、不良債権処理や財政再建などで、得てして勇み足になる恐れがあるからだ。

 今回の景気回復は、バブル崩壊後三度目の最後のチャンスといってもよい。本格回復までは細心の注意が必要で、選挙戦ではもっと緻密な論議を展開してほしい。。。