正平調というコラムに。。。
 だれしも、うそはつく。赤ちゃんだって、うそをつく。最初はおなかがすいたりして泣く。やがて、泣けば抱いてくれることを知ると、空腹でなくても泣くようになる。お母さんに抱いてもらうための本能的なうそだと、何かの本にあった。

 三菱自動車の元社長ら6人が逮捕された。重大事故につながる車の欠陥を隠していた容疑だ。リコール(無償の回収・修理)に相当する事態なのに、当時の運輸省には「不具合情報が保存されていない」とうそをついたという。うそはうそでもこれは本能的に組織を守るうそである。

 リコールは手間がかかる。利用者への通知から現場での対応まで、経費はかなり要る。ブランドも傷つく。「またか」と責められるつらさから逃れるため、ここはうそをついてと判断したのだろうが、大事な点が抜けていた。車は尊い命を乗せているという点だ。

 車内には「これ以上、はしたない話は出すな」という空気があったという。顧客と直接話をする現場にはさまざまな苦情が来ていたのだろうが、そんな「はしたない話」を上司に上げるな、という意味だろう。

 どんな仕事でも苦情はある。「クレーム対応の基本」(ぱる出版)によると、苦情への禁じ手は�@対応する人間によって言うことが違う �Aその場を取り繕う �Bみんなが責任回避と保身に走る �C問題を客のせいにする。三菱自動車ではどうだったか。

 名門「スリーダイヤ」の不祥事。対岸の火事と思う人もいるだろうが、うその怖さや車内の内情を知れば、重い教訓に満ちている。。。

 走る凶器といわれる車がこれでは。。。幸い、我が家には同社の車はありませんが。。。