観測地震雲の結果、千島列島でM5.1が発生 ―― 地震雲観測の実際 ――
09/26 07:27 28.2N 130.1E 20k M3.3 奄美大島近海
09/26 11:29 34.1N 139.5E 浅い M2.4 三宅島近海

09/25 20:21:51 46.76N 150.65E 160.3 5.1M A 千島列島(日本時間) 


 PISCOが大気イオンの異常増大を発表し、関西ナマズ予知地震研もナマズ観察から近畿方面でのM5超を警戒されている。十分、注意が必要だと思う。19日、25日観測の地震雲の結果、千島列島方面の想定地震が発生した。

 ここ最近も随分、新しい地震雲観測者が増えて非常に喜ばしい。特にどの分野でも女性の参加は効果が大きいと思う。続ければ必ず成果が得られると思うので、どうか頑張って欲しい。そこで、地震雲の観測について少しでも役に立てるよう、私の思うところをここでちょっと述べたいと思う。


――地震雲観測の実際――
 まず地震雲の観測は、必ず方位磁石を用いて震源方位を測定すること。方位は各々、在る程度はどっちが東西南北か判っているつもりでも、実際に方位磁石を使用してみるとかなり違っているという場合が多い。地震雲は震源方位の測定が命なので、必ず方位磁石を使う必要がある。測定方位が違っていると、発生地震の震源が遠方であるほどに想定震源と実際の震源位置の誤差が増大してしまう。
 そして、できることならオイル・コンパスが賢明です。実際、これを使ってみると通常のタイプ(非オイル・コンパス)との差は歴然とする。私もこの春までの観測1年半の間は通常のタイプを使ってきたので違いが判る。これがなんとも笑ってしまうが、両者を一緒に出して測定し比べてみたところが、オイル・コンパスとは同一方位を示してはくれなかった。非オイル・コンパスは、方針が静止するのに時間を要し周囲の磁気や金属の影響も受けやすいこと、そして静止しても正確な方位を示してはいないようなのだ。また、自動車の傍では誤測定してしまうので、最低でも2メートルは離れる必要がある。

 オイル・コンパスは方針の静止が早くてしかもかなり精度が高い。価格は非オイルのタイプよりは高価で、数千円もする本格的なタイプまで揃っている。しかし低価格ものなら千円以下でも手に入る(当サイト「地震予知研究を参照」)。これから方位磁石を購入予定の方には、絶対にオイル・コンパスをお薦めします。長く使えるので決して損はしない。因みに私が使っているのは、ディスカント・ショップで購入したレンザティック・コンパスという多機能・高性能の軍用タイプで2千円程度のもの。
 それから測定方位は、できれば方位角の360度計測で行うことを奨めます。私もついこの春からの実施でしたが、せっかくのオイル・コンパスの効力を無駄にすることなく発揮するためにも、このほうがやはりベター。ただ何度という数値は方位の感覚的な把握は難しいので、私は方位角度と同時にその近しい側の16方位も用いて提示するように努めています。つまり、60度の東北東といった具合です。ただ注意点としては、方位角や16方位の如何を問わず、地域別の磁北偏差(偏西角度)を補正して測ることです(当サイト「地震予知研究を参照」)。

 地震雲の震源方位の読み方と測定については、当サイトの「地震予知研究」を見て頂きたいと思いますが、もう一つの重要なことは、観測地震雲の測定震源方位を、コピーした白地図へ分度器を使用してライン引きして置くということです。しっかりと旨く測定できた場合にはズバリ、ちゃんと線引きしたラインの真上に観測地震雲の地震が来ます。測定誤差は±5度内、大抵は±3度内程度に納まると思います。これは危険なM6超級でも、M7震災級の場合でも全く同じです。毎回の書き込みが面倒で、ちゃんと記録管理のできる方ならば、360度全方位のラインを引いた地図を使って確認してもいいと思います。これは見づらくなることが難点でしょうか。
 私のように観測場所が北海道という列島端の地域である場合や、遠方震源の確認においてなどは、どうしても世界版の地図の方も必要となってきます。その場合には必ず、メルカトル図法などの平面タイプにして下さい。正績方位法、円錐法などの屈曲面はどうしても直行する方位ラインの判断には向きません。

 観測後は必ず該当地震の発生有無の確認を行うこと。面倒でもこれを続けることです。そうすることで、大凡ながら、どの程度の地震雲がどんな規模の地震であるかも必然的に判るようになります。これまで何度も当サイト上で述べている通り、発生地震の規模(M)は地震雲の長さ、或いは断層状部分などの長さとハッキリとした比例関係にあります。尚、発生時期については、さほど神経質にならなくても大した問題ではないと考えます。それが地震雲ならば、大抵、数時間〜数日中には測定方位に想定規模の地震として発生するからです。
 ただ、地震雲のタイプと規模がM5級の場合は、大凡、1週間前後を要します。当サイトでは一応、2週間14日間までを最長の該当限度と見ていますが、このような発生に日数を要するタイプは全部、M6近いかM6超級の大型の場合に限られます。小さな地震ほどに発生も早い傾向です。

 もし地震雲に興味を持たれた方は、どうぞ自分自身で体験してみられることをお薦めします。きっと大自然の神秘を知ることが出来る筈です。まさか?と疑惑に駆られる方へも、もちろんお薦め致します。これは誰にでもできます。

 
■■9月19日、25日観測の該当地震が発生 !!■■
▲09/25 20:21:51 46.76N 150.65E 160.3 5.1M A 千島列島(世界版)
 『苫小牧市に向かう途中、早来町から昼頃に撮影したもの。気象雲から覗く、東北東−西南西(60−240度)ラインの帯雲。択捉水道〜アリューシャン列島・アッツ島方面−道南・熊石町〜奥尻島方面ラインで、疑わしいのは地震雲の明瞭さと進行方位から東北東60度の千島列島近郊震源。気象雲が邪魔をして全貌が見えないが、推定規模は大凡、M4.2〜5.5程度と幅を見たい。帯雲中の細かい鱗状の粒子からは震源震度3以上か?発生は72H以内と早いかも知れない。』 
(2001 09/20 04:40 更新)
 『赤平市より昼頃に観測。空を覆っている層雲に深発反応独特のウネリが見られた。一応、より顕著だった東空を撮影したが画像ではハッキリしていない。むしろこの後の10分後位がもっと明瞭なものとなったのだが、うかつにもデジカメの電池切れで撮影不可。東空には、東北東−西南西(65−245度)ラインのやや崩れつつあるピークを過ぎた二分割状が出現しており、規模としてはM5.0±0.5程度。72H以内が濃厚。震源は恐らく、東北東65度方位側の択捉島神居岳〜アリューシャン列島方面での大深発地震。これが19日に観測した白帯雲と同一震源かどうかは判らない。』
(2001 09/25 15:39 更新)
――結果考察――
 19日の胆振支庁・早来町から観測した白帯雲と、25日に赤平市から観測した二分割断層状雲はこの上記、同一地震の前兆雲であったと判断。早来町からの方位角60度ラインと赤平市からの方位角65度ラインは、ほぼ震源付近でクロスしていた。発生規模もほぼ想定通りで、25日の宏観からは100�q超の大深発の可能性も判っていた。しかし、25日の宏観は直前型の判断で正解だったが、19日観測の判断は誤認したと思う。やはり白帯のM5程度となると一週間程度の期間は想定したほうが良いと思われる。