「白バラ」展示並びに関連シンポジウムのお知らせ
過ぎ去らない?「過去」 ― 「白バラ」展示ならびに関連シンポジウムのお知らせ
 
        現代史研究会会員剣持久木

日本政府の国連常任理事国入り表明に対して、韓国や中国から強い反発の声が上がり、
中国での激しい反日デモのきっかけにもなりました。また、訪独した韓国大統領が日
本と対照する形でドイツの「過去」との取り組みを称揚したことも報道されました。
同じ側で第二次世界大戦を戦ったにせよ、日本とドイツは全く別の地理的、歴史的、
政治的環境にある別の国家であり、軽々に並列して比較すべきものではありません。
しかし、戦後のドイツ連邦共和国で「ナチズムの過去」への反省をこめた取り組みが
広く、多様な形で行われ、その質と量には驚かされることも事実です。
早稲田大学人間総合研究センター「危機と人間」プロジェクトでは、早稲田大学オー
プン教育センター、同テーマ・カレッジ「ワンダーランド・ジャーマニー」、「二十
世紀文化研究」と共催で、ドイツ、ミュンヒェンの白バラ財団が作成した「白バラ」
展示を、解説部分を日本語に翻訳して?内外の学生、教職員、一般の方の展覧に供
することにしました。     「白バラ」はヒトラー政権下のミュンヒェンで反体
制運動を試みた、大学生中心のグループです。彼らの事跡は、世界的危機の時代に生
きた若者が国家の危機と個人の危機をどう理解し、いかに対処しようとしたかを見事
に見せてくれる、と考えたからです。
と同時に、民間の財団がこのような形で啓蒙活動を続け、やがて公的にも認められた、
という事実に、ドイツの「過去」への取り組みの一端を見ていただきたいと考えてい
ます。
早稲田大学での展示期間・場所は以下の通りです。

場所:早稲田大学本部キャンパス7号館会議室
会期:2005年5月14日(土)〜5月28日(土) 日曜閉室

展示に合わせて、ドイツでの過去の罪責とその克服の試みと、対ドイツ「抵抗」の貫
徹により勝者の一員となったフランスの過去との取り組みを振り返る、シンポジウム
を開催いたします。こちらも一般の方を含めて多くの方のご来場をお待ちしておりま
す。

シンポジウム:迫害・罪責・抵抗 ― 事実と神話の狭間で
場所:早稲田大学本部キャンパス7号館112教室
日時:2005年5月21日(土)午後1時半から
パネラー:剣持久木 静岡県立大学助教授、高橋順一 本学教育学部教授、
村上公子 本学人間科学部教授 (五十音順)

(なお、当展示は「日本におけるドイツ年」関連文化事業としての認可を受けています)
            早稲田大学人間総合研究センター「危機と人間」プロジェクト
                 (研究代表者:村上公子 人間科学学術院教授)