やはり知性と文化に期待 どうすれば戦争はやめられるのか 作家 宮内 勝典241101
 やはり知性と文化に期待 どうすれば戦争はやめられるのか 作家 宮内 勝典241101

 (末尾)わたしは長いこと異国で暮らしているうちに、宗教、人種、古歌など、アイデンティティ―に固執することが人間の根源的な病ではないかと思うようになった。
 アインシュタインとフロイトの往復書簡では、人間の知性や文化に期待すると語られていたが、たしかに音楽や思想は、すでに国境を越えて、アイデンティティ―の拡大に向かっている。現実の残酷さにくらべると歯がゆいけれど、やはり長期的には、そこに望みを託すしかないと思われる。(『北海道新聞』 24年11月1日 6面)

 ★A.アインシュタイン&S.フロイト『人はなぜ戦争をするのか』(花風社、2000年 講談社学術文庫 2016年)
 1932年、国際連盟がアインシュタインに依頼した。「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄を、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」選んだ相手はフロイト、テーマは「戦争」だった――。宇宙と心、二つの闇に理を見出した二人が、戦争と平和、そして人間の本性について真摯に語り合う。養老孟司氏・斎藤環氏による書きおろし解説も収録。