12年前。“ある秋の夏休み”のころ
左足の親指に真っ黒な血マメのようなものができて一ヶ月。徹夜が続いたスタジオで足先をぶつけた記憶があり、打ち身だろうと放っておいたが消える気配がまったくない。12年前の夏を思いだし、不安になったので、病院に。予約専門の時間だったが、強引に受診。あっさり放っておいていいですよと主治医に笑われた。12年前の傷とは違いますから、とも。あのときはでも、切断するかも、と言われましたよね、と食い下がったが、微笑むばかり。あきらめて帰る。あまりの暑さとハードスケジュールに休みがとれなかった夏。せめて秋には休もうと書いていた台本のタイトルを「ある秋の夏休み」とした。休みをとるはずの秋には右足切断かもと言われ入院。病院から撮影と編集に向かったのだ。同じ頃長岡も不調で、九州の「秋の夏休み」ロケのディテールの記憶が二人揃って無い。38℃近い熱が下がらず解熱剤飲みながら秋の火の国を撮った。夜になると傷ついた足をビニール袋でくるみ、渡辺の肩を借り、汗を流したく温泉につかった。宿の布団をあげにきたおばさんが、敷布団を通して畳まで人のカタチに濡れているのを見ながら、どうしたとね、汗かきとねと不審顔で聞いてきた。黒川温泉のいこい、妙見温泉の雅叙園。湯治部一押しの火の国の名湯2ヶ所。その記憶が淡い。
秋の九州は斜光がきれいだったこと、宇野をはじめ博多安藤チームとの出会いがあったことだけが記憶にある。仕上げた作品を見返すたびに、あの狂ったように暑かった夏を思いだす。
http://www.m-circus.com/mitsubishi/01aruaki.html
明後日から連続12日のバトルが始まるので、ま、ホッとは、した。