明日のことは、わからない…と上杉は答えた。
フル充電になっていた携帯が音もなく切れた。バッテリーゼロ。40分の間にメール14通、電話8本。若いとはいいながら今週2回目の完徹させたスタッフに文句の言いようもなく、ダイジョウブを繰り返し、別の電話には居丈高に攻め、さらに別な電話では腹芸のようなすり寄りで押しきり、揶揄したメールを書き、叱咤するメールを送り、膝折るようなメールも飛ばした。40時間くらい寝ていないのにおかげで目が覚めてしまい困った。飯でも炊いて水でもぶっかけて腹に入れ、くそでもして寝よう。明日のことは、わからない。上杉はそう言って微笑んでいた。インタビューしたCGクリエーターの中でもっとも気のきいたひと言だったからエンディングに使った。コンピューターグラフィックスは、これからどんな明日を描こうとしているのか?という問いへの答だった。賞金100万をポケットに捻じ込み、あてなしの渡米を敢行。みごとルーカスのL&Mでスターウォーズ任されることになった直後のインタビュー。思い出したら、昼下がりの世迷い言をすっと忘れていたのだ。