ココロのボスは俺のことかと…(・_・;)
徹夜明けの寝不足のせいか、まわりの温度の低さがやけに気に障った。外に出たら夜。タクシーに乗り、とりあえず蒲田に。ため息が聞こえたのか、運転手が携帯灰皿を出してくれた。よかったらひと息ついてください、と笑いながら。禁煙タクシーになってから、考えたらずっとタクシーの中でタバコを吸わなかったのだ。窓を全開にし、一服。何の関係もない通りすがりの運転手が、こっちの気分の起伏を感じ取ってくれたことと、同席していたプロダクションスタッフの他人事ぶりとがマルチ画面になって浮かび、時間差で発火。疲れていたが渡辺を誘い近くのカフェに寄った。熱いコーヒーを2杯とクッキーでささくれを溶かす。溶かしたつもりで帰ってきたが、また噴火。広告屋などという女衒商売に就いているのだ、ましてや制作など女衒のそのまた手伝い。何を勘違いしたらあんな他人事でいられるのか、奇妙でならない。つまらねえ野郎とくだらねえ仕事ばかりしているうちに、いつか俺も杜子春のようになっていく。月と夕日と野の花や草々と川の流れと雨と潮騒だけを撮り、好きなようにつないでいたいと、しみじみ思うのだ。明日からまた3日間地下スタジオで編集。東京砂漠の3日間。今夜は生卵ぶっかけて飯を食いくそして寝る。なんともつまらねえ桃の日じゃねえか。何をどうしたいのか、ときどき途方に暮れる。精神が年齢に追いつけずにいる。いつになったら成熟してくれるのか。いつかは年相応になれるのか。バカボンのココロのボスのような人生だな、と今夜は切に思うのだ。泊まり込んだMDの夜。正門前に屋台のおでん屋。ぶら下げられた鉱石ラジオから流れていたのは“♪あしたというじはあかるいひとかくのね”。親父が、高校生だろマケテヤルヨと言ってくれたことをふと思い出す。辻がいたのか横江がいたのか譲治か矢代か。お茶の水聖橋のすぐ近く。画材屋檸檬の二階の喫茶室はまだあるだろうか。あの窓から眺める五月の光景が好きだった。東京で皐月がいちばんきれいに見える場所。♪そぞろ歩きは軟派でもココロにゃ左翼の血が騒ぐ…なんて歌いながら真崎守と吉本隆明がバイブルだった頃。