世界の中心で愛を叫ぶ★★★★★
WOWOWオンエア

一本百円の遠赤外線で焼いた焼き芋を近所のスーパーで売っているのを、この秋から冬にかけなんどか買った。今日もふと焼き芋が食べたくなってスーパーに。ほうじ茶を飲みながらまだ熱々の焼き芋を口に、なんとなくWOWOWをつけた。ちょうど映画がはじまったところだった。小説も映画もまったく興味がなかった。焼き芋を食べ終わるまでと思い、ぼんやりと見ているうちに引き込まれてしまった。涙があふれ、とまらなくなかった。日本映画も、いいじゃねえか。などと呟きながら、冷えてしまった焼き芋の残りを、さめたほうじ茶で流し込みながら、鼻をかんだ。忙しいときに見たら、きっと5分でやめていたと思った。大晦日のぽつんと空いた時間に、たまたまオンエアされていたことが幸運だった。行定勲のしなやかな力技を篠田昇のキャメラと中村裕樹の照明が際立った静謐さで支える、なんとも映画らしい映画だった。