奄美は、濃い。そしてわけもなく深い。
4時前まで18時間編集。六本木の地下から外に出たら霧雨。ひんやりとした朝になっていた。まだ奄美の空気がカラダに張り付いている感じ。南は、濃密だからなのか、疲れるが後を引く。わずか4日にも関わらず、このありさまだ。あと10日も居続けたら、もう帰らなくてもいい…と思ってしまいそうなあやうさあり。島の旺盛な生命力に根源的なものを吸い取られていく、そんなようにも思える。やさしい、というよりむしろ猛々しい力。その力に飲み込まれていくようなイメージ。タヒチとも西表ともハワイとも異なる何か。興さんが帰り際にくれた黒糖焼酎のせいか、やっと見ることがかなったほんものの田中一村の残像か。美瑛行なら、まずこんなことはなかったはず。どこかあり得ない場所に沈められていた感情にスイッチが入ってしまった気分とでも言えばいいか。奄美は、濃い。そしてわけもなく深い。羽田に降りてすでに33時間近く経っているにも関わらず、混迷はいっこうに止まず。しゃれではなく、“奄美越え”するほかに術が無い。口惜しいほどだ。