コクヨ東京ショールームmemo
田中俊行designworks
http://www.kuu-kan.co.jp/design/design.htm
コクヨ東京ショールームより引用
http://www.kuu-kan.co.jp/design/kokuyo/kokuyo.htm



近年計画される建築の多くは、アトリウム空間を持つことによって多層のフロアを
連続した環境とする傾向にある。しかし、そうした各階の空間を連係させる機能を持たない
「コクヨ東京ショールーム」の建築、そのリニューアルにあたり、
アトリウム空間の代替として、5層にわたる階段ホールを利用した
縦方向のアートプロムナードを計画。
各階をつなぐ動線機能にとどまらず、スペース・アートによって連続した空間意識を持たせ、
各フロアをも巻き込んだサーキュレーションを生みだす。

そのソフトテーマとして掲げた、新しい文化・技術・世界とのJoint を意味する
Shake Hands=握手は、何世紀にもわたり世界の共通であり続けるむすびつきのシンボルであり、
抽象的な概念の中に交流・結合・共生などのメッセージとしての具体性を持ち、
そこから次世代のワークプレイスの方向性を示す。

リニューアルに際し、既存の建築内部のインテリア・ディスプレイ性から脱し、
本来の建築矩体をリアルに見せるスケルトンな素空間が、
簡素でストレートなステージ環境となって、オフィス家具の展示空間を形成する。   

情報発信の場となる1Fはギャラリー的空間として展開し、
交流と交感の場となる2F多目的スペースはニュートラルなホール空間として構成する。
3・4・5Fのオフィス関連フロアは、その中央部にパティオ的なStudio空間、
それに連なるスペースにはワークステーション、会議・応接セット、マネージメントなどの
コーディネーションを見せるShow空間とし、
それらをとりまく外環には、各コーディネーションのアセンブリーアイテムの集積展示を
倉庫的なLoft空間として設ける。
Studio空間、Show空間、Loft空間のそれぞれが内から外へ、
外から内へと連なるフロア構成とする。


各ゾーン構成をつなぐ主動線は通路ともいえる単純な構成をはかり、
各コーナーを見る展示動線と区分する。
それによって、主動線から各ゾーンへの興味、関心の選択性を高める。
各フロアのゾーンをくくる空間フレームの基本ユニットは、亜鉛メッキの型鋼で構成し、
それと対応する空間パーティションは木質素材の合板壁、床面の素材は木製フローリング、
展示ステージは植物繊維系の床材とチェッカー鉄板などを採用し、
“環境意識”のもと地球にもどせる自然系素材の活用をデザインテーマにしている。

●概要
事業・運営主体/コクヨ株式会社
プロデュース/田中俊行
所在地/港区港南1-8-35
展示設計/空環計画研究所
グラフィックアート/福田繁雄
完成年月/1997年11月
設計協力・展示施工/乃村工藝社、丹青社、エイムクリエイツ
クライアント/コクヨ株式会社