しばらくすべてを放り出そうか。
築地に着いてビルに入る直前に足が竦んだ。
なんだか自閉症児のようだなと思い直し、上がる。
エレベータ前で一人、会議室で二人目、三人目と
目障り感が増殖していく。
共感も同感も、かけらすらも見当たらず
ひたすら無為に耐える。
のど元まで啖呵がこみあげているのを咳払いでごまかし
浮きそうになる腰をとどめた。
途中、ひどい汗をかいた。
ついにカラダが直接的に反乱をおこしたかと慌てた。
渡辺に頼んでシャツを買ってきてもらいトイレで着替えた。
バカがTシャツ一枚になっていた。
大寒の夜である。
こんな時代に室内の温度コントロールもできない連中と
四時間も打合せに付き合ったのかと思うと
ほんとうに腹も立たない。

続きにかかろうと書きかけのファイルを開いたが
遠い異国のコトバが連なっているだけで
およそ理解不能になっていた。

クソと過ごしたくその時間。