《くたばれハリウッド》★★★★★
ロバート・エヴァンズ著/文春文庫刊

原題は《THE KID STAYS in THE PICTURE》
読了してみると原題通りの内容で邦題だとまったく逆の世界になってしまう。

キッドと呼ばれたパラマウントの名物プロデューサーが自らの半生をやけにポップに描きだした破天荒な自伝。

「ある愛の詩」「ゴッドファーザー」「チャイナタウン」等の製作者でもあるキッドが語る裏面史はまだ生々しいことばかりで、よくこんなものの出版ができたものだと驚かされる。自伝の性で、おいおいほんとかねと眉に唾する個所も散見するが、それを上回った破壊的な書きっぷりに脱帽。ジャック・ニコルソンとの交流のシークエンスなどはこれだけですぐれた映画ができるだろう。

《コットンクラブ》製作のシークエンスで語られるフランシス・コッポラとのやりとりなど、よく弁護士が許可したものだと思う。

アメリカはしかし奥が深い。