《ギャングスター》★★★★★
L・カルカデラ著/新潮文庫/上下巻

《スリーパーズ》の著者のひさしぶりの長編。翻訳者は後書きでM・プーヅォの域には達していない…と書いているが、プーヅォのノワールで優れていたのは《ゴッドファーザー》ただ一作のみ。あとはすべて彼自らの亜流だった。カルカデラの《ギャングスター》のピカレスクロマンはノワールではなく擬制としての《家族愛》。もっとも結末で擬制はさらに別な顔を見せることになるが。手に汗握るリーダビリティはないにもかかわらず、途中でやめられず最後の1ページまで進んだ。ま、おもしろかった。