おどるぶるすのせつなさよ
自分用に自分でやいたDVDのメニューデザインは
カーテンのある窓。カーテンが開かれ閉じる間、
淡谷のり子の「別れのブルース」を添えた。
カーテンが開くと窓の向こうに小磯良平が描いた三姉妹。
客船としてつくられ、徴用され太平洋に消えた三隻のポスターを置く。

香十の薫源氏抄を香をたき、そのメニュー画面を繰り返し眺め、タバコを三本灰にして、やっと眠気が満ちてきた。

明日はMAV。10時、広尾。
気がつけばつないだテープを持ち帰っていない。
この前もそうだったことを思い出す。
演出の俺がこんな状態になっているのに
36時間も集中させたのかと思うと何も言うことがない。


徹夜しても終わらなかったため、JRの撮影打合せをキャンセルせざるえなかった。
向こう二年ともにするスタッフの顔をまだ見ていない。
どんな幻を見ようとしているのか、片鱗すら伝えていない。
いや、自分でもつかめていないのだ。
あっちもこっちも切所である。