資料/昭和10年の世界一周旅行
■映像探検の20世紀

昭和10年に大阪の土出商店という従業員100人規模のガラス会社が、支店づくりの視察と商品/製品仕入れの開拓という名目で、社長以下10人の社員達で270日に及ぶ世界一周旅行を敢行。
同行した24歳の社長の子息/土出滋さんがその旅の様子をフィルムに記録したもの。

昭和10年2月16日に神戸を出航し11月に帰国。
旅程は
神戸(南米移民船/ブエノスアイレス丸)-香港-シンガポール-ビルマ-カルカッタ(陸路を汽車)-ダージリン-デリー-ボンベイ-セイロン(リオデジャネイロ丸)-南アフリカ・ケープタウン-ケニア(鉄道)-ナイロビ-スーダン(飛行機)-エジプト-スエズ運河-地中海-ナポリ-マルセイユ-カサブランカ(この7年後に映画カサブランカが公開された)-ドーバー海峡-ロンドン-ベルギー-オランダ-ドイツ-チェコスロバキア-ベニス-ローマ-スイス-パリ-イギリス・サザンプトン港-ニューヨーク(昭和7年にできたラジオシティでの観劇、ヤンキースタジアムでの観戦)-ワシントン-フィラデルフィア-シカゴ-シアトル-サンフランシスコ(建設中のゴールデンゲイトブリッジ)-ハワイ-日本

途中で本社が移転してしまったり
スーダンの雑貨屋で日本の雑貨が三倍の値段で売られているのを目撃して悲憤慷慨したり
赤道祭の奇妙な祝いに驚愕したり
まことにあきれるほどの好奇心で当時の世界を漫遊している。

当時いちばん安い世界一周の船賃は2700円
現在に換算すると約1000万円。一行はしたがって最低でも約1億円の旅費をかけた「社員旅行を」約270日、9ヶ月かけておこなったことになる。

なんつー豪儀なガラス店であろうか。


※不明だが帰路の船がNYKではないか?
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
日本郵船の豪華客船・浅間丸就航は昭和4年。