2002 11/01 20:15
Category : 日記
《骨音》池袋ウエストゲートパーク3/石田衣良/文芸春秋社
石田のIWGPの最新刊。若いポップなマーロウがロスではなく
現代のイケブクロに新世紀の騎士道物語を残していく…
こういう言い方を石田が喜ぶのかどうか。
根っからのチャンドラー好きとしては、
やっとこの国にも投げ出さなくてすむハードボイルドが出てきたな、
という思いが強い。傑作である。
雑誌連載の中編『骨音』『西一番街テイクアウト』『キミドリの神様』三篇に
書き下ろしの『西口ミッドサマー狂乱』を加えた四篇。いずれも力作ぞろい。
タイトルとなった『骨音』の底なしの透明感は、
ちょっとふつうの作家には真似できないだろう。
とりわけ『西口ミッドサマー狂乱』は圧巻。拍手あるのみ。
おれは子どものころ、おおきくなったら淋しさや心細い気もちも
きっとなくなるだろうと思っていた。
大人は酒も飲めるし、映画館や銀行にもひとりではいれる。
だが、それはおお間違い。
おれたちはみんな不器用な役者だ。
いくつになっても一度やった役を忘れることはない。
あのころの痛みや恐れは胸のなかの
もうひとつのちいさな心臓にいつまでも残っている。
『西一番街テイクアウト』
おれはそのまま八月の街にでて、まっすぐ池袋に向かった。
サングラスをかけた帰り道、ひとりで笑ったり泣いたりした。
だから、今もおれは待っている。
一本の電話とただひとりの声を。
希望のかけらがあるなら、待つことは決して悪くない。
『西口ミッドサマー狂乱』
この世界に存在するというのは、ただそれだけで荒れ狂うことなのだ。
命はどんなモラルにも縛られない荒れ狂う力だ。
規制することも、限定することも、コントロールすることもできない。
どこまでもあふれだし、増殖しビートを刻みつづける力。
生きることは、誰にもとめられない速度だ。
『西口ミッドサマー狂乱』
石田のIWGPの最新刊。若いポップなマーロウがロスではなく
現代のイケブクロに新世紀の騎士道物語を残していく…
こういう言い方を石田が喜ぶのかどうか。
根っからのチャンドラー好きとしては、
やっとこの国にも投げ出さなくてすむハードボイルドが出てきたな、
という思いが強い。傑作である。
雑誌連載の中編『骨音』『西一番街テイクアウト』『キミドリの神様』三篇に
書き下ろしの『西口ミッドサマー狂乱』を加えた四篇。いずれも力作ぞろい。
タイトルとなった『骨音』の底なしの透明感は、
ちょっとふつうの作家には真似できないだろう。
とりわけ『西口ミッドサマー狂乱』は圧巻。拍手あるのみ。
おれは子どものころ、おおきくなったら淋しさや心細い気もちも
きっとなくなるだろうと思っていた。
大人は酒も飲めるし、映画館や銀行にもひとりではいれる。
だが、それはおお間違い。
おれたちはみんな不器用な役者だ。
いくつになっても一度やった役を忘れることはない。
あのころの痛みや恐れは胸のなかの
もうひとつのちいさな心臓にいつまでも残っている。
『西一番街テイクアウト』
おれはそのまま八月の街にでて、まっすぐ池袋に向かった。
サングラスをかけた帰り道、ひとりで笑ったり泣いたりした。
だから、今もおれは待っている。
一本の電話とただひとりの声を。
希望のかけらがあるなら、待つことは決して悪くない。
『西口ミッドサマー狂乱』
この世界に存在するというのは、ただそれだけで荒れ狂うことなのだ。
命はどんなモラルにも縛られない荒れ狂う力だ。
規制することも、限定することも、コントロールすることもできない。
どこまでもあふれだし、増殖しビートを刻みつづける力。
生きることは、誰にもとめられない速度だ。
『西口ミッドサマー狂乱』