佐々木譲の《疾駆する夢》は★★★★★!
《武揚伝》で切り開いた佐々木の新世界は、
このやけにリアリティのある「企業」小説を脱稿することで
さらに異なる色彩で満たされることになった。

佐々木譲、大化けである。
誰も書けなかった《歴史》小説と
誰も書かなかった《企業》小説をものして
2002年の佐々木は王道を行っている。
歴史だろうと企業だろうとジャンルは実はどうでもいい。
意気込みとその意気を持ちこたえる新しい意匠。
この二つがあれば、いいのだ。

二段組で745ページ。原稿用紙換算1867枚は
ふつう二分冊だろうが、
一気に読めよ、というこれも作家の心意気か。

小学館刊1995円。
この内容とボリュームで2000円を切るという戦略は
まったくお見事としか言いようがない。

これは確かに《企業=経済》小説でもある。

脱帽の力作だった。

しかし、手がしびれたよ。