引用「含羞」
花屋で日本すみれを買ってきました。
小さな花で太陽から背を向けるようにうつむいて咲いている。
土手や斜面などの木陰で、ひっそりと咲いている小さな花です。
歩いているとつい踏みつぶしてしまいそうに目立たない花だけど
よく見ると、すみれ、そのものなんだよな。

この間、撮影の仕事で
ビオラとパンジーを撮ったけど、
手をかけて扱いやすくした西洋種には
日本すみれのような含羞がねえな、と感じていた。
ベランダで寄せ植えしたり、庭に置くには、
ま、ほどがいいけど。

仕事で森を歩くと、
鬱蒼とした大木の下に、ひっそりと咲いている
ひとり静やふたり静を見かける。
ほとんど陽のささないような木の下闇に
ほんのりと小さな白がたたずんでいる。

仕事柄、目につきやすい派手なものに
目を奪われがちだけど、
こんな羞じらうような身の処し方もあるのだな、
そんなことを思いながら
手のひらに収まるような小さな鉢に植えられた
小指の先ほどの日本すみれを買ってみた。

だからどうだと言うわけでもないが
こんな花を買ったと、書いてみたくなりました。