二つの慕情。
東京星菫派に
●dj資料/げに春は…桜 �
●dj資料/ある慕情。
の2タイトルムービーをアップ。

βカム時代の作品だが、
史上最速の開花宣言も出たことだし
日本でいちばん美しい樹影の映像をHD-F900撮影のための参考に載せた。

あらためて観ると、しかしたまらんな。
おれはこの桜が吹雪くころ、
千鳥ケ淵でボートに乗って昼寝することが多かった。
17歳。高校生の頃のこと。


βカムでこれだけの世界が撮れたのだ。
倉持さんにHD-F900を使わせ、
山岡にデザインさせたら、
こんどはどんな世界を描き出せるのか。


まことに
げに春は…じゃねえか。


賢明が駆け落ちして十年。
いまごろどこで開花の知らせを耳にしてるのか。
笑顔を思うと、涙がにじむ。


授業をさぼってボートに揺られながら
いつも目の前に彼の笑顔があった。


彼が小石川から消えたとき、
引き継いだ仕事が第1回の地球環境サミットのための作品。
環境システム研究所の原田さんと組んだもの。
桜が満開のある夜を境に、ふっつりと消えた。

だから、タイトルを「ある慕情」とした。


原田さんが、なぜこのタイトルを受け入れてくれたのか、今もなぞだ。
彼にとっての1000m超・超高層ビル構想は
自律する生命のビル=オートノマス構想以来の本願のはず。
おちこんでいた俺の気分を斟酌し、苦笑しながら「それでいい」と引き受けてくれた。

あれから十年近くたった昨年、
「ある慕情」と書かれたメールを貰ったときには、正直おどろいたが。

真っすぐな人らしいな、と苦笑が出た。
愛知万博のチーフプロデューサーなど、
損な役回りを引き受けてしまったのも、彼らしい。

森のひと、安藤さんと久しぶりに会って
高揚したのか、狂ったように早咲きとなった桜のせいか、
今夜は感傷が、濃い。これも春だ。