R.アルトマン版《長いお別れ》★★
アルトマンの《長いお別れ》レーザーディスク版。十年ぶりぐらいで観た。グールドのマーロウ役というのはミスキャストだが、やはり妙な説得力もある。前に観たときもそう感じていた。アルトマンがなぜ最後にレノックスを撃ち殺すというストーリーにしたのかやはり謎だ。マーロウとレノックスの男同士の長い友情というのが深夜の短すぎるエピソードだけでは説得力が薄く、それがすべてをぶち壊しているのだと思う。とはいえ、飼い猫のエピソードは秀逸で、ロスの乾いた空気がよくにじんでいる。ジョン・ウィリアムスのテーマ曲がさまざまな変奏で使われ、いい効果をあげていることに前に観た2回のときは気づいてなかった。フィリップ・マーロウは映画的にはとても難しい素材であることを再確認。とりわけ《長いお別れ》は、清水俊二の翻訳以外は無意味だなとあらためて。

引っ越しで、チャンドラーはどこかに見失った。書棚を探したが見当たらす。ひさしぶりに《長いお別れ》を読み直したくなった。そういう意味では観てよかったか。