さめていくのか。
午後4時。
大場さん、小島さん、市川さんの三人が来てくれた。
大場さんとは昨年末以来、小島さんとは5年ぶり、市川さんとは宮古市のハイビジョン企画以来。
さっそく裏口からと思ったら、観客の立場で見たいというので一緒に並んだが、いやあちいこちあちいこと。逃げようかと思った。毎日毎日何千人もの人たちがこんなしんどい気分をがまんして並んでいるのかと思うと、嬉しいというか、あきれるというか。

スィートシートと決めているあたりに座ってもらい、久しぶりにまともに自分の作品を見た。観客の反応を知るためでなく、内容をこれだけじっくりと見たのは五日の最終テスト上映を後藤さんとチェックした夜以来だ。

さすがに集中の度合いが減っているのに気づいた。あの二週間はどうしてあれほど夢中になれたのか。手直しの余地があったということの違いだけなのか。

どこかで少しだけ客観的になれている自分に気づかされる。

大場さん達は最終回を見る前に、日立、NECなど競合の様子をのぞきに。

くそのような暑さと湿気とがつくりだすジャングルのようなむじなの森で、満員御礼続きの客達のあげる声がもれるのを遠く聞きながら、体温がどんどん下がっていくように感じてならない。

こうして夢から覚めていくのだろうか。

二十二日に白河越えしてからつづいていた
むじなの熱は、これで平癒していってしまうのだろうか。

最終回を見、ナイトファンタジアのようすを少し見たら、東京に帰ろう。