花輪の「刑務所の中」は★
「刑務所の中」花輪和一/青林工藝舎刊

なんというか良くも悪くもガロの世界だ。三年間の懲役経験をこんなあっけらかんとした細密描写に持ち込むところがマンガ家とも言えるが、しょせんはそこまで。
花輪和一という表現者が持っている執拗さが、昔に比べてコミカルな衣装をまとてった分だけポピュラリティを確保できたというところ。
評論家がころっといかれそうな話しではある。ホワィティングの東京アンダーザワールドと同様、みなさん弱いだろうなこのテにはきっと。
誰かがエッセイで自分の食生活より豊なので驚いた、と花輪が執拗にマンガにした刑務所の三食のことを評していたが、おいおい本気かよ。こんな飯以下だなんてなめた自慢のしかたしているから、つまらん批評しか書けねえんだろうが。

ああ、こんなもの読んだままで年越すわけにもいかねえし、あせるな、口直ししなくちゃ。