この冬、いちばん美しかった東京の薄暮
2000年12月11日の東京は空青く完璧な夕暮れとなった。

まずは昼前。
東京で暮らしていながら築地の場外市場をのぞいたのは初体験。いや刺激的だった。立ち働く人はみんなきびきびして、扱う品はとことん安く、見るからに新鮮。干物さえきらきらと輝いていた。
食材の豊饒さと食にちなんだ道具や器具の豊かさに目を奪われながら撮影。
撮影の合間に「うなぎ焼きおにぎり」を買って道端で立ち食いし、さらに佃権でおでんを買ってまた立ち食い。早めの昼食ということで「まぐろ丼」をスタンドでかきこむ。これもうまかった。その並びのコーヒー屋で一杯200円のコーヒーを表に出してもらったテーブルで飲む。アジアそのもののような活気とにぎわいに満ちていて、堪能した。築地は良い顏をしたおやじの数が多い。若い女性はぜひこの町に遊ぶべきである。♂の顏について水平線が10度は上がるから。

そして午後。
一年のうちに何日かだけ素晴らしくきれいな一日がある。
今日11日はそんな日だった。

倉持画伯が映像に収めた、20世紀最後の冬の、もしかしたらいちばん美しい東京の夕暮れは、同時に今世紀最後の満月の夜でもある。

明日は、いわきへ。
十六夜を楽しみにしつつ。