『狼は瞑らない』は★★★★1/2
「狼は瞑らない」樋口明雄箸/角川春樹事務所刊
久しぶりにまっとうな山岳冒険小説を読んだ。
マクリーンをちょと彷彿させるが紛れもなく純国産の冒険物語。
きっかけとなった「悪」の部分をもう少し詳しく書き込み、
主人公の成長過程を加えれば満点だ。ただしそうするとページ数は倍になが、
440ページ一段組だから、余裕はあると思える。

ま、とは言いながらも、よく出来ている。
真保祐一の「ホワイトアウト」のマンガ調に比べるとはるかにマシである。
行き詰まるような描写が続き、雪崩れの中にこちらも身を置くようにして
読み進んだ。冬の始まりにはふさわしい一冊となった。