「チャイナ・ブルー」は★★
「チャイナ・ブルー」加治将一箸/光文社

三浦事件のヒントになったと言われているロスの冤罪事件の当事者でもあった著者だが、
波乱と万丈のロス時代の体験が色濃く活きているとも、ちょっと毛色が変わっただけの活劇だとも読める。
筆力はかなりのものでリーダビリティもかなりのものだが、小説としてのメリハリが弱いように思う。
リアリティと本人が想定している部分が逆にリアリティをなくしている、そんな堂々めぐりに陥っているのではないか。ただ、希有な資質があるように感じた。優れた編集者と組めば、その資質が開花していく、そんな才能のように感じた。不思議な読後感であった。しかし★★。