巨大画面で観た「老人と海」
高島屋のアイマックス・シアターで
「アイマックス映画フェスティバル」を6月30日まで開催中ということなので、見逃していた「老人と海」を見たくて行った。
ついでに「ガラパゴス/3D」「エクストリーム/2D」も見たので、見終わるたびに上がったり降りたりの繰り返しで疲れた。
「ガラパゴス/3D」はほぼ満員。佐世保で見たときよりずっと面白く感じたのは劇場のせいか。観客席の中央で見る。「エクストリーム/2D」は呆れるほどに退屈かつ陳腐。席の中央上手から。サーフィン、山登り、ロッククライミングなどに挑むアスリートたちといううたい文句だけどナイキのTV-CMの方が100倍も巨大でパワフルである。
ナレーションが過剰、音楽がありきたり、とにかくうるさい。なにがおもしろくてこんなもの手間ひまかけてつくったのか不思議だった。
新作にも関わらず観客は1/4程度。市民はよくご存知である。
さて「老人と海/2D」。これは素直に感動。中央、やや上から。特に老人の船乗り時代の回想シーン、カスバでの腕相撲シーンはセザンヌの絵が微妙に動いていくような奇妙で深い奥行き感を醸し出し、
CGの世界でノンフォトリアリズムの追求がテーマの一つになるのもムリもないなと思えた。
指先でガラスに描く4年間という歳月を越えた意味と成果がよく出ていた。
しかし時間合わせのための前半20分の実写は、哀しいくらいに存在感がなく、いくら興業のためとはいえ、アニメ20分で徹底するべきだったと思う。
客は時間に対価を払うのではなく、その中味にバリューを見いだすのである。
アイマックスというじつに興味深い映写システムながら、興業を牛耳る人間がきっとダメなんだな。ソニーが手がけてもなお、このありさまだもの。
それはともかく、観客の入りは3/4。周囲のリアクションは、「言葉にならない感動」上映が終わって明かりがついても、しばし言葉がなく、退場の行列になってはじめて会話が聞えてきた。女性どうしの若い客が多かったが、切れ切れに聞えてくる言葉に、
さらに感動させられた。制作者が聞いたら泣いて喜ぶような深い理解が多かった。